相手が自分と違う意見を述べたとき、先ずは「Yes」で受け止めなさい。続いて「but」で自分の意見を述べましょう。これがコミュニケーションの古典的な手法と言われています。
皆さんはどうですか、この手法を上手く使いこなせていますか?
正直に言うと、私はこの「Yes, but」は苦手です。
対峙するより共感しよう
「Yes」の後、「but」と言った瞬間に相手と私が対峙する関係になってしまいます。
欧米では自分の意見を主張し、相手を尊重するという風土がありますが、ここ日本ではまだまだそのような風土は育ち切ってはいません。一度対峙する関係になると、相手の防御姿勢を崩すのは簡単ではなくなります。
そこで私は、「Yes, and」方式をとっています。「はい、おっしゃる通りですね。お客様がおっしゃる通りではないかと皆さんおっしゃいますね」と完全に相手の意見に同意を表明します。つまり、お客様と完全に「共感」し合うことが大切だと思うのです。
共感は相手を「認証」することにつながります。認証するとは、相手の存在を認めるということです。認証すると、個人の尊厳が保たれます。尊厳が保たれれば、敵意が無くなり更に「相手を認証」しようとします。
流れを変えよう
お互いに認証し合えたら、話の流れを変えることです。
例えば、「研修なんて効果が無い」というお客様の意見に同意し、共感を示して相手から認証されたと思えてから、「結局、○○だから効果がないという結論になるんですよね」と話の流れを変えるのです。お客様は「そうそう、その通り!」というリアクションになるでしょうから、「ならば〇〇を排除してみましょう。〇〇を排除できれば効果が出せると思うのです」と提案することができます。
この提案まで持っていくポイントは、相手から認証されることなのです。そのためには、対峙関係を取らずに共感し合うことなのです。
嫌な奴と思われてしまうと、相手は警戒心を緩めず、交渉は難しいでしょう。
しかし、共感を示す相手に対しては、心を開きやすくなるものです。理解し合えるという感覚は、コミュニケーションにおいてはとても重要なのです。そのために「Yes, and」でいきましょう。
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。