「どんな営業担当者から商品を買いたいか?」といった買い手への質問に対する答えの中で、必ずと言っていいほど上位に来るのが「商品知識が豊富」というもの。
それほど営業担当者にとって、商品知識を増やすことは重要です。
しかしながら、商品知識を身につけるのは簡単ではありません。さらに、近年はビジネスが高度化し、世の中の変化も早いため、営業担当者は常に情報・知識のアップデートが求められます。
そういう意味で、全ての営業担当者にとって商品知識を増やすのは、永久について回る重要課題なのです。とはいうものの、多忙な日々の営業活動の中で、出来る限り効率的に商品知識を身につけたいもの。
本記事では、効率的かつ効果的に商品知識を覚えるコツをお伝えします。
商品知識を身につける前の心構え
まずは、前提となる基本方針があります。
「最初は広く浅く理解すると割り切ること」
「インプットとアウトプットを繰り返すこと」
の2つです。
広く浅く理解すると割り切る
最初からすべてを深く理解しようとすると時間がかかるだけでなく、どこまでいってもゴールにたどり着けない苦しさがつきまといます。
まずは浅くてもいいので、全体像を把握することがその後の詳細理解につながる近道になります。「広く浅くざっくりと理解する」と割り切って取り組みましょう。
インプットとアウトプットを繰り返す
インプットである「見たり聞いたりすること」と、アウトプットである「書いたり話したりすること」では、脳の使われ方が異なります。
「商品知識習得」と聞くと、インプットをすることに集中しがちですが、「インプット ⇔ アウトプット」を短期間で行うことで、知識の定着度が大きく高まります。
ある程度知識をインプットしたら、ポイントを書き出したり、他人に伝えたりする等、何らかの形でのアウトプットを意図的に行うことで、脳に覚えさせ、定着化を図りましょう。
商品知識を身につける3つの方法
次に効果的な具体手法を3つご紹介します。
1.商品パンフレットを読みメモを取る
会社が作成したパンフレットは、最低限の情報が記載されているものです。それを自分なりに咀嚼することで、「現場で使える」商品知識に昇華していきます。
具体的には、以下の視点を持ってパンフレットを読み、重要だと思うポイントを書き出してみます。
・商品の強みは何か?この商品は何を実現させるために作られたものか?(自社の視点)
・商品が顧客にどう役にたつのか?(顧客の視点)
・顧客がパンフレットを読んだ際に何を疑問に思うだろうか?疑問解消の答えは何か?(顧客の視点・自社の視点)
自社の視点と顧客の視点の両面から改めて読み返し、言葉にすることで、商品の輪郭と本質への理解がグッと深まります。
2.ロールプレイを行う
実際の商談に近い形式でロールプレイを行うことは、脳に適度な負荷がかかり、情報がインプットされやすいことが脳科学的にも分かっています。
ロールプレイは同僚に相手になってもらい、2回行うことがお勧めです。
1回目は自分がセールスパーソン役になり、相手に顧客役を演じてもらいます。そして、2回目は役割を交代して行いましょう。
セールスパーソン役を演じることはもちろんのこと、顧客役を演じることも商品の深い理解のためには効果的です。
以下にそれぞれの役割遂行の際のコツを示すので、それらを参考にロールプレイを実施してみて下さい。
セールスパーソン役の時
- 目的:インプットした知識をアウトプットする
- 意識する点:パンフレットから得た知識を自分の言葉で説明する
- 終了後:「効果的なトーク」や「分かりづらかった点」等、感じたことを相手に指摘してもらう
顧客役の時
- 目的:同僚のトークを観察し、さらなる知識を習得する
- 意識する点:トークの中で、効果的だと感じた点と改善余地のある点をメモする
- 終了後:良い点・改善点をフィードバックするとともに、疑問に感じた点を質問する
3.自前の資料を作成する
アウトプットの集大成として自前の資料を作成してみましょう。
その際に気をつけるポイントは以下の通り。
- ページ数はPowerPointで5~10枚ほど(あくまで目安です)
- パンフレットに書いてあることを自分の言葉に置き換えて記載する
- パンフレットに書かれていないことで、ポイントだと思う点を加える
- 実際に顧客に説明した上で、「このトークは刺さりそうだ」と思う点をさらに追記する
あくまで目的は自分の商品知識の向上なので、美しく作る必要はありません。
出来上がったら「2」のロールプレイに再度取り組んだり、顧客に話したりして、さらなる知識のブラッシュアップを図りましょう。
お客さまへの関心と自社商品の深い知識が成果への近道
営業パーソンとしての一丁目一番地は、「お客さまに興味・関心を持つこと」です。相手への興味・関心があるからこそ、課題を解決してあげたい、役に立ちたいと思うようになります。
その上で、自社商品に関心を持って知識を高めると、「お客さまのどんな課題を、どう解決できるか?」の処方箋を適切に書いていけるようになります。
そうすることが、最終的にお客様への大きな貢献につながり、ひいては自分の営業への成果に直結するのです。
今回紹介した「商品知識を増やす」取り組みを通じて、営業パーソンとしてさらに飛躍して下さい。
伝える力をさらに身につけたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
“商品知識とお客様への関心。両立することで出来る事が広がる” への1件のフィードバック