新入社員の成長にもっとも影響を与える時期は「配属後のOJT期間」です。業務について右も左も分からない新入社員は、「OJTトレーナー」の指導を一身に受け、仕事を懸命に覚えようとします。
OJTトレーナーの責任が重大である一方、その中の多くの人はマネジメントの経験がなく、また指導者としての教育を受けたことがない人がほとんどです。
そのため、トレーナーによって指導にあたる姿勢や力量のバラつきが発生し、新入社員全員に適切な指導が行き渡らないケースが見受けられます。
OJT指導におけるありがちなトレーナーのNG例
具体的に適切でない指導とはどのようなものでしょうか?
- 自分の意見を押し付けてくる
- 愛情、思いやりを感じられない
- 感情的に接する
- 自分と比べて、「出来ていない点」ばかりを指摘してくる
- 放任する
- 細かいところばかりを指摘してくる
- 「仕事はこういうものだから」の一言で片づけてしまう
- 「それぐらい自分で考えろ!」とはねつける 等々
これらが続くことで、新入社員の心理状態は「やる気に満ちた状態」から、以下のようにどんどん悪化していきます。
- 自己効力感(自分はできる、貢献しているという実感)が低下する
- 委縮から周囲への遠慮が始まり、自ら働きかけることが減少する
- 働きかけが減る事により、挑戦する機会を逃してしまう
- 結果として成長は抑制され、さらに自己効力感が低下していく
OJTトレーナーの指導力不足によって新入社員が、この様な負のスパイラルに陥りがちであることを理解しておくことが重要です。
適切なOJT指導が行えない原因
OJTトレーナーなぜ適切に指導が行えないかを掘り下げてみると、大きく2つの原因があると考えられます。
1.自分が受けてきた指導しか「基準」がない
OJTトレーナーは自分がこれまで受けてきた指導しか基準がなく、指導の「引き出し」が圧倒的に少ない状況です。そのため、新人のタイプや価値観に応じた適切な対応ができず、間違った指導をしてしまいます。
2.業務が忙しく、新入社員の面倒をみるのが煩わしい
OJTトレーナーは、指導期間も変わらず自分自身の業務を担当しています。「なぜ忙しい中、新入社員の面倒を見なければならないのか?」というストレスを抱え、前向きな気持ちになれない中で、指導をしています。
リモートワーク下での課題
さらにリモートワークでの就業に伴い、指導もオンライン上で行うことが増えています。リモートワークでの指導はオフィスでのOJTに以下のような課題が加わります。
- 何を考えているのか互いに分かりづらい部分がある
- メールやチャットなどの文字情報でのやり取りは、状況や感情が伝わりづらく誤解が生じやすい
- 手取り、足取りの指導が難しい
- 新入社員、トレーナーともに働きかけ方が分からない
上記課題を解決するのが当社の「OJTトレーナー養成研修」
当社マーキュリッチの「OJTトレーナー養成研修」は、上記の課題に対して一時的、表層的な解決法のみを提供するものではなく、今後の指導全般において幅広く活用できる様に開発されたプログラムとなっています。
プログラムは3つの柱「考え方(マインド)」「仕組み」「コミュニケーション(指導技術)」から構成され、トレーナーに必要なスキルを網羅的、体系的に習得できるよう工夫されています。
研修のねらい
- 指導の重要性と「トレーナー自身」への意義を再認識し、指導に対するマインドの向上を図る
- リモートワーク下でより重要な、「新入社員の自立・自燃・自走」を実現できる指導技術を身につける
- 効果的な指導のための具体的なコツ、技法を学び、現場での実践に役立てる
- 自分自身の指導の現状に関する気づきを得て、具体的な改善の方向性とアクションを明確化する
プログラム内容(概要)
1.「新入社員指導」の重要性とトレーナーが持つべき根幹の考え方
トレーナーが忙しい時間を割き新入社員の指導を行うためには、トレーナー自身の熱量が必要になってきます。また、新入社員の成長と共にトレーナーが成長していく事が望ましいといえます。
ここでは、研修で指導技術を学んでいくにあたり、指導することの意義や「トレーナー」という役割の重要性について理解を深めていきます。
2.土台 = 「信頼関係」をどう構築するか?
OJTにおいて欠かせないのは、トレーナーと新入社員の間に「信頼関係」が土台として築かれている事です。
新入社員はトレーナーが信頼に足る人物であるかを見ています。一旦、「信頼できないんだ」と感じると不信感が高じていき、結果的に会社への不満へと発展し、退職に至るということも少なくありません。
ここでは、信頼関係を築くために「自分自身の振る舞い方」「相手への理解の深め方」「感情のコントロールの方法」を習得していきます。
3.教育計画の作成
新入社員の教育計画を作成するにあたって、以下のような問題が往々にして見られます。
- 計画が場当たり的
- 当人の状況やタイプを無視して行っている
- 計画が形骸化している
- 大事な項目が網羅されていない
ここでは、教育計画を立てる意味を理解し、実務で利用できる教育計画の作り方を学んでいきます。
4.コミュニケーションの仕組み化
トレーナーが多忙であったり日常的にリモートワーク環境での就業の場合、コミュニケーションを意識的に取る工夫をしないと、関係性はどんどん希薄になっていきます。
特に新入社員からは忙しそうにしているトレーナーに対して、「どの様に声をかけたら良いか分からない」、「こんな相談をしていいのだろうか?」と1人で抱えている場合が多く、トレーナーが意識して目配りしてあげることが重要になってきます。
ここでは、計画的、効果的にコミュニケーションが取れる仕組みを「ルール化」と「ツール化」という2つの観点に沿って学んでいきます。
5.育成のためのコミュニケーション技法
指導で使用するコミュニケーション手法「ティーチング」「コーチング」「カウンセリング」は、目的別に使い分けることが肝要です。新入社員が今、「どの様な状況」で「どの様な手を差し伸べるのがベストなのか」を図って、コミュニケーションのやり方を変えていかなければなりません。
ここでは、これらの技法をリアル、オンライン両方のコミュニケーションにおいてどの様に使っていくかを、解説やワーク、ロールプレイを通じて実践的に学んでいきます。
6.フィードバック
フィードバックは新入社員が自発的に考え行動するために必要です。ただし、闇雲にフィードバックを行うことは新入社員を混乱させたり、モチベーションを下げるきっかけになりかねません。
ここでは、適切なフィードバック方法を「褒め方」「注意の仕方」を中心に習得してきます。
研修の特徴
研修はオンライン開催でも、集合研修でも可
「オンラインでのコミュニケーションの取り方も学ばせたいので、研修自体もオンラインで」という考え方がある一方で、「まだ不慣れだからこそオンラインでなくリアルな集合研修で」という考え方もおありでしょう。
本研修はオンライン・オフラインのいずれの場でも研修実施可能です。
貴社の状況や課題に合わせたカスタマイズ可
OJTトレーナー養成研修は「新入社員と育成トレーナー」のケースだけでなく、「中途採用者と育成トレーナー」の組合せや「メンター制度促進の手立て」としての活用など、貴社の様々なケースに応じてカスタマイズする事が可能です。
受講者の声
- OJTに対する考え方を体系的に学んだことはなかったため、非常に参考になりました。(受講前と比べ)新入社員への対応について戦略的に接するべしとの気持ち・考え方の変化を感じています。
- 人材育成に携われていることが成長機会としての喜びに変わりました!
- 研修コンセプトである「自燃」のほか、後輩指導にあたり「自分史上、最高の作品を作るつもりで臨む」といった、講師が仰っていた言葉が非常に印象に残りました。
- 効果的な指導のため、学んだ中で簡単なものから早速実践しています。(受けた質問に対し、質問で返し考えさせる等)
- 部内に展開して、部署として人材育成を体系的に行う礎を作りたい。
講師紹介
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
野村尚義
15年間で20,000人のプレゼンを指導してきたプレゼン・アドバイザー。いつも選ばれ続けるトップ1%のプレゼンの分析から、成果直結型のメソッド"ダイヤモンド・プレゼンテーション戦略"を体系化し、それを用いた指導をおこなっている。
研修の検討・導入プロセスについて
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