設立8周年を迎えるにあたっての志
先日、設立8周年を迎えるに当たって、ふと思い立って私は、設立5周年の時にみなさまにメールでお送りした「Mercurich News」を読み返してみました。
そのなかで私は、こんなことを綴っていました。以下、少し引用します。
社会人になって以来、この「ビジネス教育」という業界に長らく従事してきたのですが、どうしても克服したいテーマがありました。
それは、「研修というのは、退屈で、実践的ではない」という負のイメージです。
いち会社員として、自分なりにいろんな摸索をしてきたつもりだったのですが、やはりそれも限界があると思い、起業を思い立ちました。
今から思うと生意気だったとは思うのですが、「自分がこの業界を変えてやる!」と意気込んで、ビジネスをスタートさせた、というわけです。
そう。
たしかに私は8年前、「この業界を変えてやる!」という熱い思いを抱いてマーキュリッチを立ち上げました。
その志は、今でもまったく変わっていません。
そして創業時から抱いている志にプラスして、ここ数年私は、新たな志を強く胸に抱くようになっています。
それは
ということです。
日本人の優れた資質
私は日本人は、世界に誇れる優れた資質を持った国民だと思っています。
私は以前、外資系企業に勤めていたこともあり、さまざまな国籍のビジネスパーソンと仕事をしてきました。
彼らと比べて日本人の優れている点は、ホスピタリティと向上心、そして責任感です。
多くの日本人は、どんな職業に就いている人でも、仕事を通じて「誰かの役に立ちたい」とか「お客さまに喜んで欲しい」といった思いを持って、日々働いています。自分が社会的に成功することもたしかに大事ですが、それ以上に重視するのが、「社会に貢献したい」という気持ちです。
自分の幸福よりも、周りの人びとの幸福を優先させることは、日本人の美徳の一つだと私は思っています。
また日本人は、仕事を通じて誰かの役に立てる存在になるために、自分の能力や技術を磨くことを惜しみません。
日本の職人やエンジニアが優れた技術を持っているのは、手先が器用なだけではなく、高い向上心や向学心を持って日々努力を重ねてきた結果です。
そして責任感の強さ。
多くの日本人は、組織で決められたことはきちんと守り、自分に与えられた役割を最後まで遂行しようとします。
もちろん外国人のなかにもポスピタリティや向上心、責任感を持った人はたくさんいますが、日本人はそうした資質を備えている人の割合が群を抜いて高いと感じるのです。
ところが私が残念に思うのは、日本人はせっかくそうした誇るべき資質を持っているにも関わらず、国際的なビジネスの舞台では、存在感が非常に薄いということです。
トヨタや任天堂など、世界的に知名度の高い日本企業ならいくつもあります。
こうした企業が持つ技術力や商品力は、世界中から高い評価を受けています。
しかし日本企業は世界の中で強い存在感を示すことができているのに、そこで働いている日本人となると、ごく一部の人を除いて、ほとんど存在感らしい存在感を発揮できないままに終わっているのです。
その理由はたった一つ。
会議や交渉の場でも、自分の意見はまったく言わずにただ周囲の意見にうなずいているだけという人があまりにも多い。
欧米人の価値観では、「自分の意見を表明しない人間は仕事ができない人間」と見なされますから、日本人は評価されないのです。国内市場が本格的な縮小時代を迎えるこれからの時代、日本人は、否応なく海外に出てビジネスせざるを得ない状況になっています。
そのときに自分の意見をはっきりと言えないために、交渉や会議の場において主導権を握れないことは、致命的な弱点となります。ビジネスがうまくいかないばかりか、人としての評価さえおとしめられてしまうわけですから……。
私はこの状況を、歯ぎしりしたくなるぐらいに悔しく感じています。
日本人は世界の中で、もっとリスペクトを集めていいはずだと思います。
日本人の優れた資質を活かすために
そこでマーキュリッチがセミナーのなかで重視しているのが、受講生の方にイニシアティブ(主導力)をつけていただくということです。
イニシアティブとは、ビジネスをより良い方向へと導くために、自分の意見や考えを明確に表明できると同時に、仕事をしている周りの人たちを一緒に巻き込んで、推進していける力のこと。
もし日本人がこのイニシアティブを身につけたら、「鬼に金棒」だと私は思っています。
日本人には元々、決めたことを粘り強くやり遂げようとする責任感や、他者に対する思いやりの気持ち(ホスピタリティ)は備わっていますから、そこにイニシアティブが加われば、最強の「頼れるリーダー」が誕生することになるからです。
ですからマーキュリッチのこれからの最大の目標は、「世界に誇れる日本人」を一人でも多く育てるために、私たちとしてできる限りのサポートをしていくことにあると考えているわけです。
この8年間、本当にありがとうございました。
そして今後ともマーキュリッチをよろしくお願い申し上げます。