コンテストのすすめ
プレゼン研修の効果をより高め、定着させるために、一回きりでトレーニングを終えるのではなく、シリーズ研修にして受講者に数回に渡って受けていただくパターンが少し増えてきました。
受講者は、研修の各回の間で実践をし、内容をよりブラッシュアップさせた上で次の研修に臨むことになるので、スパイラル式にスキルを高めていくことができるわけです。そういう観点から、この傾向は喜ばしいことだと思っています。
その際、私が強くお勧めしているのが、最後の回を『プレゼンテーション・コンテスト』にして、受講者同士競い合ってもらい、かつセレモニー的に開催いただく、というものです。
これは多くの方が考えている以上に効果的です。実際、コンテストに臨むことで大きく成長する受講者講師としてたくさん見てきましたし、何より組織としてのプレゼン力が向上します。
以下になぜ私がプレゼンコンテストを勧めるかの理由をより具体的にお話したいと思います。
晴れ舞台を用意してあげることで、モチベーションが上がる
日常の仕事におけるプレゼンでは、他者から褒められることは意外と少ないものです。だからこそ、コンテストでその効果を持たせるわけです。
その際のポイントは、2つ。
1つは、社内の上位層の方をできるだけ巻き込むこと。
可能であれば審査員になっていただくといいでしょう。多くの、かつ役職が上の方に見てもらってプレゼンするのは緊張もしますが、晴れ晴れしいものです。
逆に、上位層の立場からも意外な嬉しい発見があったりします。コンテストの審査をする中で、「あれ、あいつあんなにプレゼンうまかったっけ? なかなか頼もしいじゃないか?」などといったコメントはよく耳にします。そういった副次的効果も期待できるのです。
もう一つポイントが、様々な賞を用意しておくこと。
ベストプレゼン賞といった賞はもちろんのこと、努力賞やロジカルプレゼン賞など、極端に言うと、名前は何でもいいので、たくさん用意するのが重要です。人は表彰されたり、評価されると、結構嬉しい気持ちになるものです。
「本番」が人を成長させる
講師およびコンサルタントとして、これまで多くの方のプレゼンスキル向上のお手伝いをしてきましたが、やはり「本番」の直前が成長のゴールデンタイムと言ってもいいくらいです。
コンテストでは当然順位づけがなされますし、いろいろな人にプレゼンを見られるわけです。
となれば、人は恰好悪いところは見せられない、できれば少しでもよく見せたいと思うもの。そういう心理が働くから、普段以上に頑張るものです。
私がコンテストファシリテーターをするときは、その準備プロセスにおいて、受講者同士にバディ(相互アドバイザー)を組ませ、互いに相談に乗ってあげたり、フィードバック(アドバイス)をしてあげたりすることを仕組みとして実施しています。
そういった取り組みのおかげもあって、コンテスト当日は見違えるようなプレゼンをする人もあるくらいです。
「本番」の存在はプレゼンターのギアを1~2段上げ、本気にさせる効果が大きいということです。
組織のメンバー全員が互いに他者から学べる
コンテストのあとに、毎回と言っていいほど起こることの1つが、コンテスタント(プレゼンター)から「他の人のプレゼンがすごく参考になったので、その資料が欲しい」というリクエストです。
上記で述べたように、レベルの差こそあれ、各コンテスタントは完成度が非常に高いプレゼンテーションをすることになります。
仮にコンテスタントが10人いたとすると、それぞれの受講者(=出場者)は、聞き手としてその秀逸なプレゼンを9回聞けるわけです。それだけのレベルの高いプレゼンを一度に見れる機会はそうそうありません。それによって、コンテスタント同士が、他者からたくさん学べるのです。
そして何より、組織としてのノウハウが蓄積でき、それが組織全体の財産になるわけです。
私自身も英語によるプレゼンを含め、過去にたくさんのプレゼンコンテストに出場してきました。
コンテストが終わったときの達成感、充実感、心地よい疲労感は何にも代えがたいものがあります。コンテストの前は、いつも本当に逃げ出したくなるのですが、それを乗り越えた暁には必ず成長した自分に出会うことができます。
上記で述べた3つの理由からプレゼンコンテストは、メンバー1人1人の、そして何より組織全体のプレゼンテーション力を大きく向上させます。
自チームのプレゼン力向上を望まれている方々はぜひコンテストを実施してみることを強くお勧めします。