「プレゼン時に聞き手から攻撃的に質問されると、つい冷静さを失ってしまう」誰でも経験したことがあると思います。
アグレッシブな質問を受けたとき、多くの人は、「『売り言葉に買い言葉』でケンカ腰になる」か、「プチパニックになり、ひるんでしまう」かのどちらかに陥りがち。いずれの場合も、冷静さを失っている状況で、これでは良い対応ができようもありません。
こんな場合はどう対処したらいいのでしょうか?
「対自分」と「対相手」の2つの観点で、対応策を図る必要があります。
「対自分」と「対相手」。それぞれの対応方法とは?
「対自分」のポイントは、自分の感情をコントロールすること。感情がかき乱されることによって論理思考力が低下し、適切な回答ができなくなることを避けるためです。
もう一つの「対相手」のポイントは、相手と戦わないが屈しないこと。相手の間違った指摘に対して「おっしゃる通りです」と全面敗北宣言をせず、うまくかわすことです。
「対自分」「対相手」を同時に解決するポイント
そして、この対自分と対相手の両方の問題を同時に解決するやり方があります。
キーワードは、「感謝」「受容」「部分肯定」です。
まずは、質問してくれたことに対して「ご質問、ありがとうございます」と「感謝」を示すこと。質問してくれたということは、関心を持ってくれたということなのですから、考えてみればありがたいことなのです。
ここで大事なのは、笑顔で全身を使って「感謝の気持ち」を体現することです。そうすることで、まずは自分が落ち着くし、ピりついた雰囲気を和らげる効果もあります。
その上で、受容です。「確かにおっしゃったことは、重要なポイントです。しっかり考慮すべき点だと思います」といったように、相手の指摘を受け止めている旨を伝えます。人は感謝され受容されてしまうと、気勢を削がれ、攻撃し続けることが難しくなります。
実は「感謝&受容」の返しをすることは、別の効果もあります。それは、良い意味の「時間稼ぎ」になり、質の高い答えが見つかることです。
その上で、部分肯定です。
部分肯定の具体的な使い方
例えば、あなたの提案に対して、ある聞き手が「それって本当にやる意味があるんですか?」と詰問調で聞いたとしましょう。
むろん、「おっしゃる通りです。意味ないですね」といった全面的・自己否定の答えはできません。かと言って「いやいや、意味があります! それはですね、、、」と真っ向から反論したら、感情論になって議論が平行線を辿るだけになりかねません。
だから、相手の言い分を「部分的に」肯定します。
そのときのコツは、「Yes、and」です。「おっしゃる通り(Yes)、あなたの言ってることはある側面では正しい。そして(and)、私の言うことも別の側面では正しい」と持って行くのです。
例えば、こんな風に。
といったように。
今回ご紹介した、3つのキーワード「感謝・受容・部分肯定」が使えるのは、プレゼンに限ったことではありません。「相手に賛同はできないが、反論もしたくない」という場面では、対立を避ける良い潤滑油になるはずです。
ぜひ積極的に使うことで、コミュニケーションの効果性を上げていただければと思います。
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。