研修の終了後に、受講者が学びを継続するためのアクションプランを立てるケースは少なくないと思います。たとえば、プレゼンテーション研修で言えば、「毎日、プレゼン動画を5分間見て勉強する」といったもの。
研修が終わった直後はモチベーションが最高潮で、「やるぞー!」となっているので、継続できそうな気がします。なのにその後、いつのまにかやらなくなっている、なんてことは誰でも一度や二度は経験しているでしょう。
なぜ続かないのでしょうか?
続かないのは「時間がない」からではない
「他のことで忙しいから」が真の理由ではありません。なぜなら本当に忙しいなら、ご飯も食べられないはずです(ちょっと極端ですが)。
1つの大きな原因は、継続されないアクションプランの立て方になってしまっていることなのです。先ほどの「毎日、プレゼン動画を5分間見て勉強する」というアクションプランを見てみましょう。具体的で、測定可能、現実的、など一見よさげに思えます。
私自身の実践経験および指導経験から、ずばり申し上げます。これでは続かないでしょう。
ここで、「そもそもなぜ継続が途切れてしまうのか?」の理由を深掘りしてみます。
理由は、主に2つです。
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そもそもやることを忘れる
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「面倒だから明日からしよう」が続いた結果、やらなくなる
これらの問題解決のためには、アクションプランの内容にもうひと工夫が必要です。
アクションプランは「紐づけ」することがポイント
その際のポイントは「紐づけ」です。
つまり、新しく定着させたい継続行動を「何かとセットにする」ということ。ここで言う「何か」とは、行為・時間・場所といったものです。
実際、あなたの中で習慣化が定着している行動を思い出してみましょう。ほとんどの場合、何かと紐づいているはずです。
例えば、朝の歯磨き。「朝食」の後であったり、「起床」直後であったり。ちなみに、薬が「食後」に指定されている理由は、多くの場合飲み忘れないためだそうです。
この「紐づけ効果」は、調査によっても証明されています。
ニューヨーク州のピーター・ゴルウィッツァー博士の実験結果によると、この「紐づけ(英語では「If-then」と言います)」によって、運動習慣がなんと91%(!)も続いたそうです。
「紐づけ」の威力が抜群な理由
では、「紐づけ」は、なぜそれほど習慣化において強力なのでしょうか?
一言で言うと、行動の「自動化」をしているから。それによって、以下のことを実現しています。
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やることを忘れにくい
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極めて小さなエネルギーで行動を遂行できる
つまり、先ほど挙げた2つの問題(忘れる、面倒)を見事に解決することになるからです。
では、先ほどの「毎日プレゼン動画を見る」というアクションプランを、継続が可能なように「紐づけ」してみましょう。例えば、以下のような候補が上がると思います。
- 朝起きて顔を洗ったら、プレゼン動画を見る
- 通勤電車に乗ったら、イヤホンをしてプレゼン動画を見る
- 風呂上がりにプレゼン動画を見る
こういった候補のうち、自分の毎日の行動を振り返って、最もしっくりくる「紐づけされたアクションプラン」を選ぶといいでしょう。
西野の紐づけ成功例
最後に、「紐づけ」によって、あるスキル習得に繋がった私の経験をご紹介させてください。
英語スキルの習得です。
私は、30歳のときに外資系に転職した際に英語力の必要性を痛感し、「何とか習得するぞ!」と決心して本格的に勉強を始めました。習得プロセスにおいて、色々なことを行ったのですが、今振り返ってダントツに一番効果的だったと思う勉強方法が、「毎日、NHKのラジオ英会話の番組を聞く」というものでした。
もう少し具体的に言うと、タイマーをセットして番組を毎日録音し、翌日の通勤時間等の移動中に聞いて勉強しました。自分の英語習得のMVPと言っていいくらいです。
これは「電車に乗る」および「歩く」という行為との「紐づけ」になっていたから、続いたのです。加えて、「今日勉強する分」というように分量が明確になっていたため、継続のリズムを作ってくれたというのもあります。
「紐づけ」はとにかくパワフルで、かつ必須といっていい仕組みです。研修のアクションプラン立案の際のみならず、日々の習慣化においてぜひ活用いただければと思います。
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。