私が新人研修を実施する際に気を付けていることがあります。
それは彼らから研修の中身に関して、できるだけ率直な意見や感想をもらうようにしていることです。
「ビジネス社会のことを何も分からない素人に聞いても意味ないんじゃ?」と思うかもしれませんね。
実は意外とそうではないのです。むしろ、逆と言っていいくらいです。
新人の意見は貴重なリソース
研修中に「ぜひ率直な意見をくださいね」という種まきをしておくと、終わってから私に思い切って意見や疑問をぶつけてくる受講者は少なくありません。
例えば、「このテキストでは、なぜAのパートがBの前でなく後ろなんでしょうか?」といったふうに。
そして、こういった素朴な疑問こそ、ときにドキッとさせるようななかなか鋭い指摘だったりします。
我々が「当たり前」「普通」「常識」と思っていることに関して、敢えて「何で?」と聞かれることで本質に遡って考えさせてくれます。そうすることで、そのあとのさらなる改良につながったことは、1度や2度ではありません。
つまり、彼らの素朴な疑問や意見は極めて貴重なリソースなのです。そして、この「お宝」を職場の改善に生かさない手はありません。
今年、新人の皆さんが部署に配属されているならば、ぜひ彼らのフレッシュな目を最大限活用しましょう。
新人から貴重な意見を引き出す方法と注意点
では具体的には何をしたらいいのか?
まずは彼らにどしどし質問や意見を言ってもらいます。
「何か疑問を感じたら、遠慮なく言ってみて」
「無責任コメントも大歓迎!」
「あなたの新鮮な観点は参考になるからね」
などの言い方がおすすめです。
ただし、注意点があります。
当然社会人1年目なので、とんちんかんなコメントが結構来ます。そんなときでもイラっとする気持ちを抑えて、喜んで一旦受け入れましょう。
少なくともその「フリ」はしないといけません。でないと、その後二度と言ってきてくれなくなるからです。
こちらが答えられない質問はイノベーションを起こすチャンス!
そうしていると、粗削りの彼らのコメントの中に、キラリと光る鋭い指摘や質問が必ずあります。
例えば、ある会議に関して、「何のための会議なのでしょうか?」「なぜこの進め方なのでしょうか?」などと聞いてきて、こちらが即答できないときは大チャンスです。
なぜなら、そこに改良、改善、場合によってはイノベーションのヒントがあるから。
もし答えられない場合、以下のようなことがあり得ます。
(1)手段が目的化していたり、目的を忘れてしまっている
(2)状況が変わっているのに、なんとなく無駄なことを続けている
そんなときは、ゼロリセットした上で根本の目的・ゴールに遡り、一から構築しなおしましょう。仕事の効率性や効果性が一気に向上すること間違いなしです。
数年前に話題になった『若者、バカ者、よそ者 イノベーションは彼らから始まる!』という書籍があります。見事なタイトルだと思います。
「バカ者」という表現はいかがなものかとは思いますが(笑)、非常に本質を射抜いている一言です。
新人は、まさに「若者、よそ者」の代表選手。
仮に社会人一年目が配属されなくても、よその部門から異動してきた人がいたら、同じく大チャンス。彼らの疑問、指摘はイノベーションの泉です。
ぜひたくさん吸い上げて職場改善・改革に繋げましょう!
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。