from 西野浩輝

この1年の間に「人前ではマスクをすること」が、すっかり常識になりました。これは新型コロナウイルスの感染予防のためには、仕方がないことです。

でもビジネスをおこなう上では、いろいろとやりにくいことが出てきました。そのうちの1つが、マスク越しだと格段に聴き取りづらくなるといという問題です。

話し手の声がごにょごにょと籠もってしまうことで、聞き手にメッセージが届かない。これはプレゼンテーションにおいては大問題です。

プレゼンでは「はっきりとした口調と適度な声のボリュームで、相手に伝わるように話すこと」が基本中の基本なのに、マスク越しだとそれが難しくなってしまうのです。

では、どうすればいいのでしょうか?

今回は「マスクをしながらプレゼンをするときの声の出し方」についてお話ししたいと思います。

喉の奥を開け、舌の付け根を下げた状態で話すようにする

マスクをしながらプレゼンテーションをするとき、まず大切になるのは「普段よりも5割増し」の気持ちで大きな声を出すこと。私たちは口の周りをマスクという障害物に覆われているだけで、無意識のうちに勢いが削がれて声が小さくなりがちです。

そもそもマスクをつけていると空気を吸う量が減るぶん、吐く量も減るため、どうしても小さな声になってしまいます。

だから「普段よりも5割増しの大きい声を出す」ぐらいの気持ちで、ちょうどいい音量になるのです。

大きな声を出すときに一番手っ取り早いのは、口を大きく開けることです。ただし、ちょっとみなさんもやってみてほしいのですが、口を大きく開け
るとマスクがずれやすくなります。

テレビの記者会見などで、しょっちゅうずれたマスクを直しながら話している政治家などがいたりしますが、あれはあまり格好良いものではありません。何よりも、マスクがずれることで感染リスクが増えてしまうのは絶対避けなければなりません。

そこでやってみてほしいのは、口の奥のほう、いわば喉を開けて話すようにすることです。

ただし多くの場合、一足飛びにはできません。ステップを踏んで習得していく必要があります。

まずはじめに、大きなあくびをします。

人の体はあくびをすると、自然と喉が開くメカニズムになっています。このとき舌の付け根は下に押される感じになります。

次に、この「喉を開け、舌の付け根を下げた状態」でいったん口を閉じます。その上で話してみましょう。

その際、唇の側はあまり開けすぎずに、その状態を保ったまま話すようにします。

するとマスクがずれることなく大きな声を発することができるようになります。

しかもマスク越しなのに、声が籠もらずによく通った声になります。

オンライン・ミーティングの時間をトレーニングに活用する

この発声法をマスターするには、少しだけトレーニングの期間が必要です。

私がオススメしているのは、ミーティングの時間をこの発声法のトレーニングの場に使ってしまうことです。特に最近は、どこの会社もオンラインでのミーティングが増えてきています。

オンラインの場合、機械を通して声が相手に届くので、なおさら聴き取りづらくなります。

そこでこの発声法を意識して話すようにすれば、トレーニングの機会にもなるし、相手にも自分の声や言葉がしっかりと伝わるので、一石二鳥というわけです。

そして発声法をマスターしたら、いよいよプレゼンテーションの場面で実践してみてください。

きっとみなさんの声や言葉は、聴衆にしっかりと伝わり、ひいてはビジネスの成果につながるでしょう。

ぜひお試しください。

西野浩輝写真マーキュリッチ代表取締役
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
西野著書写真

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