from 西野浩輝

1年経って、現在は昨年ほどの混乱はないものの、依然リモートワークにおける課題を抱えている企業さまが多いように見受けられます。むしろ、オンラインでのコミュニケーションが当たり前になってきたからこそ、課題の本質が見えてきたと言った方が正しいのかもしれませんね。

いずれにしても、これからも続くであろうリモートワーク下において、少しずつでも改善を図っていく工夫が継続的に必要だと言えます。

さて、今回のコラム記事は「オンライン・コミュニケーション」において、皆さんに意識してもらいたいことをお伝えしたいと思います。

「アメリカンコーヒー」の名称はどこからきたのか?

あなたに質問です。

「アメリカンコーヒー」ってどういうコーヒーですか?

多くの方は、「薄いコーヒー」と答えたと思います。

基本的に正解です。

では、質問をもう1つ。

なぜその名称なのでしょうか?

おそらく多くの方は、「??」となったのでは?

私も昔、そうでした。

その疑問が解けないまま月日が流れました。

その後、1994年に初めてアメリカ本土に行ったときのことです。中西部を中心に、車でアメリカ各地を旅行して回りました。

行く先々でレストランやカフェに入ったのですが、どこに行ってもコーヒーの味が薄かった。

そこで、気づいたのです。

「そうか! だから『アメリカンコーヒー』っていうんだ!」と。胸のつかえがスッと降りたのを今でも覚えています。

さらに付け加えると、まるで出がらしのコーヒーを飲んでいるようで、正直美味しくなかったです(笑)。

皆さんは、ひょっとしたら「あれ、スタバはなかったの?」と思ったかもしれませんね。

当時はまだまだ広まっていませんでした。

その後、ある時期から一気に全米に普及し、今やスターバックスのない街は無いと言って良いほどの状況になっています。

スターバックスコーヒーがもたらしたもの

この事象から何が言えるのでしょうか?

私の大胆な仮説も含めて持論を展開したいと思います。

スタバが現れるまでは、多くのアメリカ人は本当においしいコーヒーの味を知らなかったのではないかと思うのです。

もちろん、何となく「この薄味のコーヒーよりは、もっとおいしいやつがあるんだろうな」と気づいてはいたはず。

でもそれが何なのかまではわからなかった。

そこでスタバが登場し、アメリカ人に本当においしいコーヒーの味を教えてあげた。

加えて、スタバはコーヒーの味という点での革命のみならず、サードプレイス(第三の場所)と呼ばれるような快適な空間を提供しました。

つまり、「カフェってこんなにおいしいコーヒーと快適な場所を提供してくれる場所なんだ!」という新しい世界をアメリカ人に知らしめ、今や「スタバ無しでは生きていけない」状況にまでしてしまったのです。

このエピソードは我々ビジネスパーソンにいろいろな示唆をくれると思います。

職場のオンライン・コミュニケーションは不快?

今回フォーカスしたいのが、職場におけるオンラインコミュニケーションのあり方です。

オンラインコミュニケーションの研修をすると、受講者の方は口をそろえて、「オンラインはやりにくい」「ミーティングが苦痛だ」と言います。

そもそも、なぜオンライン会議をはじめとする、オンライン・コミュニケーションが不快なのでしょうか?機器や環境のせいにはいくらでもできます。

でも、もう一つ大きな問題があります。

それは、参加しているメンバーの態度です。

多くのメンバーは、笑顔もなければ、リアクションもない。やる気もなさそうだし、怒っているようにさえ見える。

まさに「快適な空間」の正反対の状況です。

そんな環境で、ミーティングをしても成果は出るはずもなく、どっと疲れが残るだけ。だから、前述の「オンラインはやりにくい」「ミーティングが苦痛だ」
といった声が出るのも当然の結果です。

オンライン・コミュニケーションをスタバ空間にする

もしあなたの職場がこのような状態ならば、何とか打破したくないですか?

そんな方にこそお伝えしたいことがあります。

あなた自身が先導して、スターバックスになって欲しい。

あなたの働きかけによって、オンライン・コミュニケーションの場を「スタバのような快適な空間」に変え、他のメンバーに新しい世界を教えてあげて欲しいのです。

では、具体的には何をすればいいのか?難しいことではありません。

例えば、

・話を聞くときは、大きな笑顔で
・頻繁に相づちをしてあげる
・理解したら、大きくリアクション
・発表が終わったら、拍手する
・同意や承諾をしたなら、両手で大きく「マル」を作る

どうでしょう?

こうしたあなたの工夫は、かならず周囲に伝播していきます。

すると、そのうちメンバーから「オンラインって工夫次第で、こんなに快適でやりやすいんですね」という声が上がってくるでしょう。

そうなったら、もうしめたものです。

今の多くのアメリカ人が「スタバ以前」に戻れないように、元の「味気なくて、無機質で、温度感が感じられない」不快なオンラインミーティング空間に戻る気にはなれないはず。

あなたの働きかけ1つで、職場に革命を起こせるかもしれません。

早速実践してみませんか?

西野浩輝写真マーキュリッチ代表取締役
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
西野著書写真

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