プレゼンテーションを行う目的
プレゼンテーションの語源は、「プレゼント」です。
つまりプレゼンテーションとは、話すという行為を通じて、聞き手に対して価値ある情報を「プレゼント」すること。
そうすることで、聞き手に喜んでもらったり、動きたい気持ちになってもらう。
その上で最終的に、話し手も聞き手もハッピーな方向に導くのが、プレゼンテーションの目的です。
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成功するプレゼンの特徴とは
成功するプレゼンテーションには共通点があり、主には以下の3つです。
わかりやすい
「分かりやすさ」は、プレゼンテーションにおける一丁目一番地です。そもそも、話が分かりにくいと、価値は伝わりようがないし、聞き手にとっても苦痛でしかありません。
話し手の印象が良い
聞き手も人間なので、当然好感が持てる人から話された方が、仮に話の内容が同じだとしても、聞く気になるし、説得もされやすくなります。
聞き手が価値を感じることができる
いくら面白い話でも、聞き手にとって何の関係もない話を延々続けられたら、全く興味が湧きません。
聞き手の直接的な問題解決まで行かなくても、なんらかの形で、聞き手に関連付ける必要があります。
プレゼンで大切な事前準備
当然のことながら、プレゼンテーション成功のためには事前の準備は欠かせません。
事前準備というと、「スライドの作成」と「誤字脱字等のチェック」のみで終えている人が少なくありません。
が、それではなかなか成功に導くのは難しいでしょう。
プレゼンテーションが上手い人は、いきなりパワーポイント資料の作成に取り掛かりません。
まずは、シナリオをしっかり練る。言わば、論理構成に十分な労力をかけます。
その上で、資料を作成しますが、その後の練習・リハーサルにしっかり時間をかけることも怠ってはいけません。
本番さながらにできればそこに聴衆が居て、語りかけるつもりで練習をすると、当日もスムーズに言葉が出て、自信ありげな良いプレゼンテーションに繋がるはずです。
プレゼンの構成は『型』を使う
プレゼンテーションにおいて、いくら魅力的な内容が盛り込まれていても、筋道や論理構成がはっきりしないと、聞き手に伝わらないし、ましては腹落ちしれくれません。
そういう意味で、プレゼンテーションのシナリオ構成は非常に重要なのですが、「どういう流れ、順番で話せばいいか?」は、なかなか迷うところです。
これまで多くの先人が、プレゼンテーションにおいて効果的でかつ使いやす『型』を提唱してくれています。
これらを状況に応じて使うと、プレゼンテーションの効果性が上がるだけでなく、資料作成の時間も大幅に削減させることができます。
以下に代表的なものをご紹介します。
サンドイッチ手法
ビジネスシーンでプレゼンテーションをする際は、まずはこの一番の王道である「サンドイッチ手法」をお勧めします。
一言で言うと、「イントロ⇒ボディ(本論)⇒エンディング」の3部構成で成り立っている型です。
イントロでは、全体像を示すとともに、聞き手の興味を喚起した上でボディに繋ぎます。
ボディでは、メインメッセージ(一番言いたいポイント、プレゼンの軸)を伝えた上で、それを支える3つのポイントを示します。
その後、3つのポイントそれぞれの詳細を説明した上で、エンディングに繋ぎます。
エンディングでは、大事なポイントを再度サマリーして伝えた上で、相手の行動を促すためのもう一押しをするといいでしょう。
この「サンドイッチ手法」は、説得を目的としたフォーマル・プレゼンテーションはもちろんのこと、ちょっとした報告プレゼンや技術的な説明プレゼンなどにも応用できる、非常に使いやすいフォーマットです。
構成に迷ったらまずはこの手法で考えてみるのが最も効率的でしょう。
以下にそれ以外の型をご紹介します。
起承転結
最もよく知られた手法ですが、注意点があります。
「起承転結」は、物語を語るのに向いている手法のため、ビジネスプレゼンで使うと、前置きが長くなりがちです。
そのため、多くのケースで聞き手が、「結論は何!?」とストレスを感じやすくなります。
目理方結
「目的→理由→方法→結論」の流れです。
報告プレゼン等で使いやすいフォーマットの1つです。
DESC法
「Describe(描写する)→Express(説明する)→Suggest(提案する)→Choose(選択する)」の頭文字を取ったもので、アメリカの心理学者ゴードン・バウアーらによって提唱されました。
相手にとって厳しいことを柔らかく伝えたいときなどに有効な方法です。
PREP法
「Point(要点)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(要点)」の流れでまとめる手法です。
抽象的な理屈の説明だけでは、聞き手がイメージしずらいような内容をプレゼンするときに有効です。
比較的短めのプレゼンテーションに向いているフォーマットです。
SDS法
「Summary(要約)→Detail(詳細)→Summary(要約)」の流れで話していく手法です。
前述の「サンドイッチ法」をさらにシンプルにしたフォーマットで、自己紹介などのシンプルで、短いプレゼンテーションに使いやすいでしょう。
プレゼンを成功させる資料作成のコツ
プレゼンテーションはスピーチと違い、多くのケースではパワーポイントなどの資料を使って説明します。
資料があることで、聞き手の理解が大きく進むはずなのに、実は多くのプレゼンターは、スライド資料をうまく使いこなせていません。むしろ、ゴチャゴチャしていて見づらい資料が聞き手の理解を阻害しているケースすら散見されます。
以下に、わかりやすく、見やすい資料の作り方、見せ方のコツをご紹介します。
まずは、スライドの見出しだけを作る
プレゼンの全体の流れ・構成を決めた後、次にやることは見出し、言わば「スライドのページタイトル」を決めることです。
見出しは、そのページのポイントをサマリーしたものであり、それを決めることで各ページでどんな内容を語るかの方向性が定まります。
その上で、詳細の内容を作り込んでいくと、わかりやすい資料となるはずです。
1つのスライドには1つのメッセージだけにする
資料を見ながら、話し手の話をしっかり聞いて理解するのは相当大変な作業です。
したがって、スライドに載せる情報はできるだけ少なくシンプルに表現するとともに、「1つのスライドには、1つのメッセージだけ」という原則を守るようにしましょう。
図解することで分かりやすく伝える
話す内容をダラダラと長いフルセンテンスで書くと、それを読むだけで聞き手は一杯一杯になり、話し手の話に集中できません。
したがって、言いたい論理を図解して表現するのが、プレゼン資料における鉄則の一つです。
そうすることで、聞き手は話の内容を直観的に理解することができ、トークに集中することができます。
イラスト、表で見やすくする
文字ばかりのスライドは、見づらく、なかなか頭に入りづらいもの。
数字が複数出てくる場合は表で見せたり、比較表でメリット・デメリットをわかりやすく表現するとより伝わりやすく、訴求しやすくなります。
イラストを使う際の注意点は、内容と関係ないものは入れないこと。あくまでイラスト自体が内容の理解を促進することが大前提です。
強調、色使いで見やすくする
スライドの中で、「このパートは大事」「この言葉はキーワード」と思う箇所を強調して目立たせると伝わりやすくなります。
具体的には、囲みをつけたり、太字に変えたり、色を変えたりするといいでしょう。
ただし、色はあまりたくさんの種類を使うと見づらくなります。1ページ3色までに抑えるのが基本です。
プレゼンを成功させる話し方のコツ
ずばり、プレゼンテーションはライブです。ライブだからこそ聞き手が価値を感じることができたり、聞き手の心が動いてやる気になったりするものです。
その「ライブ感」を演出する一番のツールが「話し方」です。
ここでは、あなたのプレゼンテーションの効果性を高める話し方のコツをお伝えします。
資料にないことを語る
聞き手は、「資料をそのまま読み上げているだけだな」と感じたとたん、退屈して聞く気を無くしてしまうものです。
まずは、資料に書かれていることの中から重要な情報を抽出し、要約して伝えるようにします。
その上で、資料にないことを少し語ると、そのプレゼンテーションの場ならではの価値が伝わり、聞き手は注意を払って聞いてくれるようになります。
具体的には、書かれていることの言い換えや、ちょっとしたエピソードなどを語るといいでしょう。
声の大きさや速さを調整する
当然ながら、声は大きい方が説得力が増します。これは様々な実験によって証明されています。声が小さいと、「本気度が伝わりにくい」・「内容にも自信がないと思われる」のダブルパンチで、マイナスです。
では、声を大きくするには、どんな工夫ができるのでしょうか?
一つは、日常から3割増しの声を話そうと心がけること。もう一つは、口を大きめに開けて話すことです。
話すスピードは原稿に落とした場合「1分間に350字」くらいが適切です。まずは自分の現在地を知ることが大事なので、一度自分の話を録音して、測ってみるといいでしょう。その上で、速さを調整するとより聞き手が快適に聞けるスピードで話していけるようになります。
カラダでも表現する
ジェスチャー・ボディランゲージを使うと、やはりプレゼンテーションの効果性が増します。
ボディランゲージには、「聞き手の理解の促進」・「話し手の印象の向上」という2つの役割があります。
単に口頭だけで説明するのでなく、「2つの役割があります」と言いながら二本指を立てたり、「たくさんのラインナップがあるのです」と言いながら両手を大きく広げた方が、わかりやくなるし、ニュアンスや思いも伝わります。
その際のコツは、大きめに表現しつつ、「動かす ⇔ 止める」のメリハリをつけることです。
そうすると、ダイナミックにかつプロっぽく見えるのでお勧めです。
また目線に関しても、下ばかり見ていたり、一方向にだけ向けるのでなく、聴衆全体に対して目線を配るようにしましょう。
そうすることで、聴衆全体を巻き込む感じになり、一体感を創出できます。
事例やエピソードを交える
プレゼンのトークを魅力的に聞かせるのは、なんと言っても事例・エピソードです。
たとえば、「ダイエットをすると、見た目がよくなるだけでなく、健康にもなり、人生が変わります!」といくら力説しても、おそらく多くの聴衆は「そんなことはわかっている」と聞き流して終わりでしょう。
そこで、今の理屈に加えて、ある人の「ダイエットによって人生が劇的に変わった」エピソードをありありと「Before – After」の時間軸で描写すると、聞き手は急にイメージが湧くとともに、そのストーリーに感情移入したりします。そうすることで、プレゼントークの魅力度が大きく増します。
プレゼンテーションにおいて、事例・エピソードは鉄板です。
「どうも理屈っぽくて、インパクトに欠けるな・・」と感じたら、事例を探して挿入するようにしましょう。
その他プレゼン成功のコツ
場の空気を作る“味方”を見つける
多くのプレゼンテーション場面では、はじめは聞き手も警戒していて、雰囲気が堅く話しにくいもの。だからこそ、少しでも早く空気を温めて、こちらのペースで話せるようにに持って行きたいですよね?
そのためには、とにかく早く“味方”を見つけることです。
大体5人に1人くらいの割合で、うなづきながら聞いてくれる人がいます。まずは、その人を中心に語りかけるように話しましょう。反応がある中で話すと、自分がノッていくことができ、自分のペースを掴んでいくことができます。
すると、全体の空気感がほぐれ、一体感が生まれ、他の人も反応してくれるようになっていきます。そうなったら、当然プレゼンテーションの成功確率は大きく高まります。
そもそも、社内でのプレゼンテーション等、可能そうであれば事前に根回しをして、「プレゼンテーションを聞きながら大きめに反応して」とお願いしておくと、非常に話しやすくなり、空気感を作っていくことができます。
プレゼン内容に想いを込める
良いプレゼンテーションをするためには、スキルやテクニックは重要です。ただし、それと同じくらい大事なのが想いです。
なぜなら、聞き手はプレゼンテーションの内容を見ているだけでなく、話し手の想いや熱意、本気度も推し量って、総合的に評価や判断を下しているからです。
では、想いが十分に伝わるプレゼンテーションに仕立てるにはどうすればいいでしょうか?
ズバリ入念な準備です。
内容をしっかり練ることはもちろんのこと、イメージングやリハーサルを行うことを通じて、プレゼンのメッセージや内容が自分の中に浸透されていきます。
実際のプレゼンテーションの場面では、自分の中にしっかりと「取り込まれた」言葉として発せられるので、より想いが目減りなく聞き手に伝わり、聞き手の心を動かすことにつながります。
見た目、第一印象で説得力を作る
第一印象は非常に重要です。おそらくあなたが誰かにはじめてあったとき、見た目で「この人は信頼できそうだ。感じが良い人だな」等、無意識に値踏みしているはず。そしてその印象が内容の評価にも大きな影響を及ぼしています。
だからこそ、話し手になったときに、良い印象を与えることは必須と言えます。
聞き手に良い印象を与える見た目のポイントを以下に挙げておきます。
・清潔感のある服装を心掛ける
・プレゼンテーションのスタート時は大きい笑顔で
・姿勢よく立ち、深く丁寧にお辞儀して始める
自分が与えている印象をチェックする一番いい方法は、他者に聞くことです。
以上の3点を中心にプレゼンテーションにおいて自分が与えている印象を他者に聞いて、フィードバックをもらうようにしましょう。
プレゼンで緊張を抑えるには
人前で話すのは、緊張するものです。場数をたくさん踏んでいるはずのプロの研修講師でも、ほとんどの人は「プレゼンテーションは緊張する」と言います。
最近の様々な研究結果からも、ある程度アガる方が力を発揮できることが分かっています。
ただし、やはりアガリすぎてパニックになり、頭が真っ白になってしまうのは避けたいもの。そのための幾つかの処方箋を以下に紹介します。
まずは、事前に口に出してリハーサルすることです。
結局、「仮にアガッてしまっても口だけは勝手に動いてくれる」状態を作ることです。そもそも「これだけ練習したんだからある程度はちゃんと話せるはず」という安心感が、アガリを適度に抑えてくれます。
できれば、他人の前でプレゼン・リハーサルをしてみて、フィードバックコメントをもらうとさらに効果的です。
その際にコツ、留意点があります。
一つは、聞いてくれるひとに、「○○と××という点が気になっているので、そこを中心に指摘してもらえます?」とある程度フィードバックの観点を提供してあげること。もう一つは「良い点を中心に指摘してください」と言って、ポジティブなコメントをもらって、根拠ある自信を自分にインストールして、当日に備えることです。
プレゼンテーション直前では、深呼吸をして、会場全体を見渡すといいでしょう。そうすると、視野が少し広くなり、心がスッと落ち着きます。
「アガリを抑えるコツ」についてさらに詳しく知りたい方は、以下の動画をご覧ください(音声が出ますので音量にご注意ください)
会社でプレゼン研修を行う意味
「企業の価値は、社員の発信力の総和である」
とも言えます。
せっかく良い商品を持っていたとしても、それを市場に発信していき、適切に認知させることができないと、完全に宝の持ち腐れです。
対社内でも同じく発信力は大事です。適切な情報発信をし合うことで、円滑なコミュニケーションが実現できるだけでなく、その発信した価値の相乗効果によって、新たな価値が生まれていくもの。
その発信力を支えるのは、まさにプレゼンテーション力なのは、もうおわかりでしょう。
社員1人1人のプレゼンテーション力を向上させることこそ、企業力の向上につながる。その意味で、プレゼンテーション研修は企業が行う人材育成施策の根幹を担う1つと言えるでしょう。
プレゼン研修で行った方が良いもの
一口に「プレゼン研修」と言っても様々な種類があります。汎用的なプレゼンテーションスキルを学ぶものから、ロジカルに伝える力を鍛えるもの、相手の感情に訴求して相手に動いてもらう語り力を強化するもの等、数え上げたらきりがないほどです。
企業として導入する際に、どういうプレゼンテーション研修を行うといいのかの判断基準は、結局以下の要素を総合的に考慮して、決めるのがいいでしょう。
・自社がさらに成長していくための課題
・その課題解決のために社員はどんな力を伸ばしていけばいいか?
・その中で、どんな種類のコミュニケーション力、プレゼン力を伸ばしていけばいいか?
現在、多くの企業で導入例が多いプレゼンテーション研修の種類を以下にご紹介するので、参考にしていただければと思います。
プレゼンテーションコアスキル
プレゼンテーションスキルを構成する主要3要素である、内容・構成・話し方を偏りなく、総合的に学ぶ研修です。
会社に売上をもたらす営業担当者や社内での影響力が高いマネジャー層により向いていると言えます。
ただし、非常にニュートラルな研修で、様々な場面で適用できるため、新人~トップ層まで広くカバーできる研修とも言えます。
プレゼンテーションコアスキル研修の詳細はこちらから↓
ロジカルシンキング・ロジカルプレゼン
論理的にものを考え、筋道立てて分かりやすく伝える力を養うタイプのプレゼン研修です。
論理思考力とコミュニケーション力を同時に磨いていけるという利点があり、上記の「コアスキル研修」に次いで、人気のコースです。
ビジネス遂行における土台となる「論理コミュニケーション力」を早めに身につけさせたいという思いから、若手~中堅社員を対象に導入する企業が多いのが特徴です。
もちろん、改めて論理プレゼン力をブラッシュアップするという目的でマネジャーに受けてもらうことも少なくありません。
ロジカルプレゼンテーション研修の詳細はこちらから↓
ストーリーテリング
ここ数年、トレンドになっているタイプの研修です。特に欧米では、ブームになっているほどの人気を誇っており、日本でも先進的な企業を中心に広まりつつあります。
文字通り、ストーリーを語ることを通じて聞き手の感情を動かし、行動に駆り立てるための筋書きと伝え方を学ぶ研修です。
中堅層~マネジャー層~経営層を対象に導入している企業が多いと言えます。
ストーリーテリング研修の詳細はこちらから↓
まとめ
プレゼンテーションスキルを身につけると、自分のシナリオに沿って人に動いてもらいやすくなります。
それほど、ビジネスの成果にダイレクトに繋がる、重要なスキルです。
ぜひ体系的に学び、場数をたくさん踏むことで、プレゼンテーション力を伸ばしていきましょう。あなたのビジネス人生がより充実したものになるはずです。
マーキュリッチのプレゼンテーション研修トップページはこちらから↓
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。