ここぞという場面で相手を動かしたいとき ~「カメレオン戦術」タイプ別攻略法~
前回のコラムでは、相手によって変幻自在に接し方を変える「カメレオン戦術」についてお伝えしました。
今回は、具体的に「こういう相手には、こんな風に接すると動いてもらいやすい」というタイプ別攻略法をお話しすることにします。
まずは、以下のような状況を思い浮かべてください。
あなたがある企画を社内で提案し、採用してもらいたいとします。大抵の場合、提案が通るかどうかにおいてキーパーソンが存在するものです。
もしその人が反対すると、形勢が非常に厳しくなり、残念ながらかなり高い確率で不採用になる。逆に後押ししてくれると、一気に「Go!」に突き進める。
そう考えると、事前にキーパーソンへ対策を打つことは、企画が通るかどうかにおける非常に重要な要素の1つになります。
ではどのように「カメレオンとしての顔」を使い分けると、その人を望ましい方向に動かせるのか?
4つのタイプの傾向と対策
以下の4つの典型的なタイプごとに攻略法をご紹介しましょう。
「4つのタイプ」とは・・・
・Logic重視タイプ
・大阪のおばちゃんタイプ
・慎重さんタイプ
1つずつ、傾向と対策をお話していきます。
1.親分肌タイプ
1人目は、親分肌タイプです。
自分が頼られると、意気に感じて「一肌脱いでやろうか?」となるタイプです。
逆に言うと、この人に対して「軽んじた扱い」をしてしまうと、へそを曲げられ、強力に阻止されるリスクがあります。
対策のコアは「あなたの力こそが必要なんです!」と本人の自己重要感に訴えること。
その際、「○○という点で困ってるんです。どうしたらいいでしょうか?」「ぜひアドバイスが欲しいのですが・・・」と泣きつかんばかりのトーンで相談すると、より相手のハートを掴みやすくなります。
アドバイスをもらったら、ちょっと大げさなくらい感謝を述べましょう。
最後に「プレゼンの場面でも、サポートをぜひよろしくお願い致します!」と頭を下げれば仕上げは完璧です。
2.Logic重視タイプ
2人目は、Logic重視タイプ。
文字通り、理路整然と論理的に話し、納得してもらうことではじめて動いてくれるタイプです。基本的に、この人には泣き落としは通用しません。
仮に根回しであっても、資料を用いて根拠となる事実情報をしっかり示し、納得いただいた上で、意見やアドバイスをもらいましょう。
その際、資料には「①目的、②課題、③対策案、④相談・お願いしたいこと」などが明記されているのが望ましいです。
さらに、裏付けのデータや「メリット・デメリット」比較表などがあると、「ロジカルに整理されて、練られている」ように見え、相手の納得をより引き出しやすくなります。
3.大阪のおばちゃんタイプ
3人目は、大阪のおばちゃんタイプ
とにかく、人の世話が好きで、何よりみんなで楽しくワイワイやるのが好きなタイプです。
私の母を筆頭に、大阪のおばちゃんにこのタイプが多いので、こう名付けました。
「大阪のおばちゃんが全員そうやないで!」との猛烈な突っ込みが聞こえますが(笑)。もちろん、イメージで言っているだけなので、誤解なきようにお願いします。。。
キーワードは、「盛り上がる」「面白い」「ハッピー」「みんなで」といったもの。
このタイプには、「企画が実現できると、どれだけみんながハッピーになるか?」を楽しそうに話しましょう。
「そんなに面白いのだったら、喜んで後押ししたいなー!」となれば、しめたものです。
4.慎重さんタイプ
最後の4人目は、慎重さんタイプです。
何よりもリスクを恐れるタイプで、波風を立てたくない人たちです。
説明の際には、企画実現による「メリット」パートはほどほどにして、「デメリットやリスクの小ささ」を強調しましょう。
「そこまで準備周到に考えられているなら安心かな」と感じさせ、できるだけ不安を取り除くと効果的です。
それに加え、「あなたには火の粉は降りかからない」「他の多くの人もすでに賛成してくれているから大丈夫」ということをさりげなく匂わせることができると、首を縦に振ってくれる確率が大きく増すはずです。
「タイプ別攻略法」における注意点
ただし、この「タイプ別攻略法」には注意点があります。
表面上に見えている「表の顔」の裏に、「別の顔」が潜んでいることがままあることです。
たとえば、一見「ロジック重視タイプ」だけど、その実「親分肌タイプ」や「慎重さんタイプ」といった裏の顔を持っているようなケースです。
その際、慎重に「表のタイプ」と「裏のタイプ」を見極めた上で、両方に訴求する技を駆使することが必要です。
ここまでご紹介した「タイプ別カメレオン・テクニック」を駆使することで、正式なプレゼン提案の前にすでに勝負付けが済んでいる、という状態にしておければ理想的です。
ちなみに、根回しの際は1対1の場を見つけて、雑談風に相談するのがお勧めです。
そうすることで、相手が心を開きやすくなるとともに、こちらの立場や状況に共感してくれ、最終的に味方になってくれる確率が高まります。
そのためにも、その人と日常から関係性を作っておくことはプロのビジネスパーソンとして必須の行動でしょう。
ご紹介した4タイプを見極めてストロークを打ち分けるコツがつかめていくと、自分のシナリオ通りに仕事が進みやすくなり、成果に直結していきます。
投資対効果の大きいスキルなので、ぜひ磨いていくことをお勧めします。
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。