人生は確率論で考えるとうまくいく
最近、興味深い本に出会いました。
タイトルは『なぜロジカルな人はメンタルが強いのか?』競技麻雀のプロ雀士である小林剛さんという方が書いた本です。
「え、麻雀? それってビジネスに役立つの?」と思ったかもしれませんね。実は私もはじめそう思いました。
私は仕事柄、「プレゼンテーション」はもちろんのこと、「メンタルマネジメント」「心理メカニズム」「脳科学」といった言葉を目にすると、ついアンテナが立ってしまいます。
例に漏れず、この本のタイトルにある「ロジカル」「メンタル」といった言葉に惹かれて購入してしまい、やや半信半疑で読み始めたものの、どんどん引き込まれて一気に読了しました。
「なぜロジカルな人はメンタルが強いのか?」から学んだこと
この本で特に参考になったのは、「メンタルをどう上手くマネージすると、成果が出やすいか? そして人生自体が上手くいくか?」という点です。
私の専門であるコミュニケーションの領域においては、スキル・テクニックだけでなく、マインド・メンタル面も非常に大事です。
この本は、その「メンタルマネジメント」に関する新たな示唆をくれました。おかげで、自分なりの理論がさらに強化されたのではないかと感じています。
以下に、この本から得た学び、気づきをご紹介します。本の純粋な内容紹介というよりは、私の解釈が加わった内容になっており、その点はご容赦いただければと思います。
この本から私が受け取った一番のメッセージは、「人生は『確率論』で考えるとうまくいく」というもの。
「どういうこと?」と思ったかもしれませんね。
2つの観点でひも解いてみたいと思います。
「人生は、必ず一定の『確率』でいいことも悪いことも起きる」
「確率論」における1つめの観点です。
結論から言うと、「人生は、必ず一定の『確率』でいいことも悪いことも起きる」と割り切ること。
人は得てして、想定外の「悪いこと」が起きると、それに感情を乱され、振り回されがちです。
なぜそうなるのか?
それは、「悪いことや不運なことが起きないこと」を前提にして生きているから。
その考えを改めようというのです。つまり、「悪いことは起きるもの」と定義を変えてしまう。
そうすると、何か悪いことが起きたとしても、織り込み済みのことなので、「想定内だ。人生なんだから」と冷静に対処できるし、ネガティブ感情によって大きく幸福感が下がるということもないわけです。
この「確率論」の考え方は、逆のことにおいてもそのまま適用できます。
つまり「人生においては、常に一定の確率で『ラッキーなこと』も起きる」ことを理解しておくことが、やはり感情に振り回されない上で大事だということ。
たとえば仮に、顧客向けに提案プレゼンテーションをし、最終的に3社の中から自分が選ばれたとしましょう。そこで、陥りがちなのが「自分はできる営業担当者だ。自分はプレゼンテーションの達人かも」と思い込んでしまうことです。
本当は、「他の2社が『たまたま』ヘマをしてしまった」「他社の営業担当者の調子が『たまたま』良くない時期だった」ということだけかもしれません。
一定の確率で起こる『ラッキーなこと』が起こったから成果が出ただけなのに、「自分の実力」だと思い込んだら、どうでしょう?
気が緩んで努力を怠るかもしれないし、自分の実力を過信するがゆえにその後苦しむことになりかねません。
要は、「人生においては、常に一定の確率で『ラッキーなこと』が起きる」という側面の確率論的考え方は、自分を戒めてくれる要素としても働くのです。
プラスの意味でも、マイナスの意味でも「一定の『確率』で必ず想定外のことが起きる」と覚悟しておくと、感情に振り回されすぎず、人生をしっかりコントロールしていけるわけです。
「自分ができることは、成功する『確率』を上げるために努力することだけ」
確率論の話はここで終わりません。
もう一つの観点は、「自分ができることは、成功する『確率』を上げるために努力することだけ」と捉えること。
社内外を問わず、ある提案をした場合、それが採用されるかどうかは様々な外的要因が影響します。そう考えたときに、最終結果である「採用されるかどうか?」を考えすぎて、やきもきしたり、不安がったりしても意味がありません。
だって、自分がコントロールできないことを気にしても、何の意味も持たないから。
「心配する」という時間と労力の無駄遣いをする代わりに、自分がコントロールできることに対して努力をした方が、結局その後の成功確率が上がります。
人生もビジネスも、究極は「成功確率を上げるためのゲーム」と言えるのですから。
「感情に振り回されている」「周囲に翻弄されている」と感じている方は、ぜひこの「人生を確率論で考える」を実践してみてください。
ビジネスと人生を好転させるきっかけをつかめるかもしれません。
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。