from 西野浩輝

1.Whyを使って聞き手を巻き込む

1つずつお話していきましょう。

まずは、「Why」

コンサルタントのサイモン・シネック氏は著書「Whyから始めよう」で、繁栄する企業と衰退する企業の決定的な差を述べています。

それは、『経営者がWhyを語っているかどうか?』だと。

だから、経営者が方針や戦略をプレゼンテーションするときは、「『なぜ』この方策を取るのか?」を語るべきであり、新製品の発表をするときは、「『なぜ』この製品が人々や社会を豊かにするのか?」を語らないといけないのです。

その中でとりわけ語るべき究極のWhyは、その企業の存在意義であり、ミッションです。

経営者はことあるごとに「我々は『なぜ』この事業をやっているのか?」に立ち戻ってそれを語らなければならないのです。

ディズニー、リッツカールトンホテル、サウスウェスト航空。日本で言えば、ミドリムシで世界を救おうとしているユーグレナ。
繁栄している企業は経営者が常にミッションを語っている。

それを聞くことで、

従業員は改めて大きな意義ややりがいを再確認し、帰属意識が高まり、よりコミットして日々の仕事に取り組むことになる。
顧客や投資家はその崇高な志に共感し、応援したくなる。

そのような流れを作るのが、まさに経営者による『Whyのプレゼンテーション』なんです。

2.未来の世界観を夢を語ることで共有する

2つめは、「未来」です。

故スティーブ・ジョブズ氏は「製品を売るな、夢を売れ」と表現しました。これをプレゼンテーションに当てはめるとこういう表現になります。

「製品を語るな、夢を語れ」

経営者が本当に語るべきは製品のスペックなんかではありません。ましてや細かい数字の羅列などでもない。

表現すべきは、「自社の事業を通じて将来的にどんな素晴らしい世界が実現されるのか?」。
言わば、未来の世界観なのです。

そういう点で孫正義氏が語った30年ビジョンプレゼンは秀逸です。
まさに言葉通りソフトバンクの事業が30年後の世界をどう作り、どう変えているかをありありと語っています。

ただし、実際そこまで壮大なものでなくて構いません。自分なりの実現したい夢を等身大で語ればいい。

その未来語りこそ聞き手をワクワクさせ、「この人と一緒に夢を実現したい!」と思わせるのです。

3.ストーリーに仕立てて心を動かす

そして、最後の3つめが「ストーリー」

心を動かし、印象に強く残るプレゼンには必ずストーリーがあります。

抽象的な理屈で説明しても聞き手の「頭」には届きますが、「心」に深く突き刺さることはありません。

「この人の神輿を担ぎたい!」と思わせるほどの強い感情を湧き上がらせるには、ストーリーで語るべきなのです。

ちなみに、コンサルタントのJohn k. Bates氏によると、「今からストーリーをお話しますね」と言われるだけで、聞き手の脳が活性化されてスイッチが入るという調査結果が出ているそうです。

まだ一言もストーリーを語っていないのに、です。
それほど、人はDNAレベルでストーリーを聞くのが好きだということの証です。

経営者のプレゼンテーションには理屈や数字のみならず、ストーリーを含めて話しましょう。

「Why」と「未来」と「ストーリー」

この「3種の神器」が経営者の語りに魂を吹き込み、聞き手をインスパイアするプレゼンテーションになるはず。

そうして結果的に「この人の神輿を担ぎたい!」と応援してくれる人が増え、さらなるビジネスの発展につながっていくことになるでしょう。

西野浩輝写真マーキュリッチ代表取締役
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。
西野著書写真

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