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from 西野浩輝

研修は1回1回が真剣勝負

私が13年研修講師を続けていても、少しも飽きがこない理由の一つに、「研修は、1回1回が違うものだから」ということがあると思います。

プレゼン研修ならプレゼン研修というタイトルは同じでも、受講者の顔ぶれは毎回違いますし、それぞれの成長ステージや抱えている課題も異なります。

受講者の成長ステージや課題が変われば、こちらのアプローチの仕方も変わってきます

その受講者に対して何をどんなふうに話し、どんなアドバイスをすれば相手に気づきを与え、成長を促進させることができるかを常に考えながら、真剣勝負で研修の場に立っています。

だから「飽きている」なんて余裕は、とてもないのです。

また何よりうれしいのは、受講者の「あっ、変わったな。今、成長のステージを一つ上がったな」という瞬間に立ち会えることです。

自分がその受講者の成長に、貢献できたことに「魂のごちそうをもらえたな」というぐらいに深い喜びを覚えます。

人は何か大きな物事を達成できた後には、燃え尽き症候群になりやすいものですが、心理学の研究では、「他者に対する貢献」によって得られる達成感だけは、何度経験しても燃え尽きること(飽きること)はないと言われています。

高校野球などの監督でも、60歳になっても70歳になっても、ずっと監督を続けているような方がいます。

あれもきっと、選手の成長の瞬間に立ち会えることと、その成長に自分が貢献できたことに深い喜びを感じるから、飽きることなく監督を続けているのだと思います。

まだ私は、自分に満足できていない

研修講師を長年続けても、飽きが来ないもう一つの理由は、まだ自分に満足できていないからです。

もしみなさんが夕方の電車の中で私の姿を見かけられたとしたら、そのときの私はちょっと声をかけにくいような、深刻な表情をしているかもしれません。

研修講師としての私は、自分ではまだまだ未完成だと思っています。

ですから研修が終わったあとの帰りの電車の中は、

「Aさんには、あのコメントではなく、もっとこういったコメントをしたほうがよかったんじゃないか」
「Bさんの成長が期待したほどでなかったのは、私の課題の与え方に工夫が足りなかったからではないか」

といったように、反省会の場になってしまうことがしばしばあるのです。

そして反省した結果を、次の研修に活かそうとするのですが、また新しい課題が見つかって、反省をする。

毎回その繰り返しです。

ですからやはり「飽きている余裕」などとてもないのです。

おそらく私は13年間飽きずに研修講師を続けてきたように、これから先もずっと「飽きた」なんて言葉が頭をよぎる瞬間すらなく、この仕事を続けていくだろうと思います。

そういう意味で、やはりこの仕事は天職なんですね。