東京商工会議所様は、東京23区の商工事業者約8万社の会員から構成される民間の総合経済団体です。会員企業に対する経営支援を活動の柱に据えており、その一環として会員企業の社員を対象としたセミナーを多数開催しています。

マーキュリッチの西野浩輝は、このうち「プレゼンテーション力アップ講座」と「英語プレゼンテーションスキルアップ講座」の講師を約10年にわたって務めてきました。また2021年度には、新規開講の「リモートマネジメント講座」と「オンライン商談講座」の講師を務めることになりました。
今回は、「リモートマネジメント講座」を中心に、講座開講の狙いや研修講師に西野を選んだ理由、研修内容に対する評価などについて、人材・能力開発部研修センター主任調査役の西薗健史様、同センターの和田朋也様、内田健太様にお話を伺いました。

わかりやすく実践的で、新たな観点が得られるセミナーを行ってくれている

― 西野は、約10年にわたって東京商工会議所様の「プレゼンテーション力アップ講座」と「英語プレゼンテーションスキルアップ講座」の講師を務めています。これだけ長い期間、西野に依頼し続けている理由は何でしょうか。

西薗様 「受講してくださった方々からの評価がいいから」というのが最大の理由です。

東京商工会議所(以降、東商)では会員企業様の社員を対象に、年間130~140テーマ前後のセミナーを開催しています。私たちがセミナーを開催している目的は、会員企業様の経営課題の解決や人材育成のお手伝いをすることです。ですから、あるテーマを継続して開催するか否か、同じ講師の方に依頼し続けるかどうかを判断する際にも、会員企業様のニーズや受講者の方々の声に耳を傾けることをとても大切にしています。

受講者の方にはセミナーのあとに必ずアンケートをとっていますが、西野さんのセミナーは、毎回非常に評価が高いんですね。やめる理由が見当たらないというのが、継続している一番の理由です。

― アンケートでは具体的にはどんな声が寄せられていますか。

和田様 例えば今年7月に開催した「プレゼンテーション力アップ講座」では、「プレゼンテーションにおいて必要となるスキルやポイントをわかりやすく教えてもらえた」「明日からでも実践できる内容だった」「ビジネスの場面で話すことすべてがプレゼンテーションの練習になるという話には、目から鱗が落ちた」といった感想がありました。

また、昨年度の開催の英語プレゼンテーション講座でも受講後の満足度が90%以上と日本語同様に好評をいただきました。

全体的に「わかりやすい」「実践的」「新たな観点を得られた」といった声が多いですね。

リモートマネジメントを先駆的に取り組んできた経験がある方に講師を頼みたかった

― 2021年度は、新規講座として「リモートマネジメント講座」と「オンライン商談講座」を開講し、この2講座(いずれもZoomでの開催)についても西野に講師を依頼されました。このセミナーを開催することになった背景を教えてください。

内田様 昨年から続くコロナ禍の中で、会員企業様の中にもリモートワークを実施されている企業が増加したことが、東商の調査からもわかっています。またオンライン商談についても、業界を問わず行う機会が増えています。リモートワークにしてもオンライン商談にしても、急に出てきたテーマのため、社内の導入にはまだまだ戸惑っている方が多いのではないかと考え、今回開催することにしました。

― 西野に声をかけていただいた理由は何でしょうか。

西薗様 実はリモートマネジメント講座やオンライン商談講座については、いくつかの研修会社から提案をいただいていました。

ただ私たちとしては、講座を開催するのであれば、講師の方ご自身がリモートワークでのマネジメントやオンライン商談に先駆的に取り組んできた経験があり、その自らの経験を体系化したうえで、受講者に話せる方に講師をお願いしたいと考えていました。とは言え、「社会全体がリモートワークに取り組み始めてからまだ間がない中で、そういうセミナーができる方が本当にいるのだろうか?単なる本の寄せ集めなどになってしまわないか?」と探していたときに、まさに西野さんがぴったりの人物であることがわかったのです。

西野さんは、会社を創業されて18年間ずっとリモートを駆使したマネジメントに取り組んでいらっしゃいます。またコロナ禍になってからは、オンラインでの商談や打ち合わせを日常的に行っていらっしゃいます。さらにはオンラインスキルに関する研修の実績も豊富です。そこから、「この二つのセミナーの講師は、活きた内容を提供いただける西野さんが最適だな」と判断しました。

受講者一人ひとりに対するこまやかな配慮で、緊張をほぐしてくれたおかげで、オンライン研修に不慣れな方も安心して受講できていた

― 二つのセミナーのうち「リモートマネジメント講座」に関しては、先日無事終了しました。セミナーのオブザーブをされていて、どのような感想を抱かれましたか。

和田様 「西野さんは受講者に寄り添った伴走型の研修をされる方だな」と感じました。セミナーでは受講者を2人1組にしてペアワークをさせる場面が多かったのですが、西野さんはそれぞれのペアにこまめに声をかけながら、リモートマネジメントにおける重要なエッセンスを伝えていました。

内田様 「受講者に寄り添う」という意味で私が印象深かったのは、セミナーが始まる前に受講者がZoomに入ってきた時に 西野さんが一人ひとりに「○○さん、おはようございます。音声や映像の調子はどうですか?」と話しかけていたことでした。最初に西野さんと言葉を交わす機会が得られたことで、受講者の方はかなり緊張がほぐれたと思います。また実際にセミナーが始まってからも、西野さんに質問がしやすくなったのではないでしょうか。「そういう事前の細やかな配慮が研修全体をスムーズにし、また受講者の皆様と関係を構築するうえでとても大事なんだな」と、私自身気づかされました。

特に今回は、異業種の方が集まるセミナー且つオンライン開催なので、より意識されていらっしゃると感じました。

またペアワークについては、ほかの受講者の多様な発想や考え方に触れられるという点で、とても効果的だったと思います。特に盛り上がっていたのは、これまで学んできたことをもとに、マネジャーとしてのアクションプランを立てる」というペアワークでした。「なるほど、○○さんは今後マネジャーとしてそういうことをめざしていくんですね。私はこれをぜひ実行したいと思います」といった会話が、多く飛び交っていました。

細かいTipsだけでなく、マネジメントの本質を話してくれた

― セミナーの内容面で、印象に残ったことはありますか。

内田様 セミナーの中で西野さんは、マネジャーがリモートでマネジメントを行う際には、部下の行動をすべて管理するのは不可能であるし、部下の成長を促すためには、そうしたやり方は効果的ではないという話をされていました。そのうえで、マネジャーがその都度細かい指示を出さなくても、部下自身が自分で判断し、熱い思いを持ちながら適切に行動できるようになるための方法、つまり部下の「自立・自燃・自走」を引き出すためのマネジメント術を受講者に伝えておられました。

この話は、私自身はオブザーブする立場でありながら、すっかり受講者の一人になったような気持ちで聴きいってしまいました。受講者の方々も、みなさん熱心に聴いておられましたよね。それは西野さんがメッセージの一つひとつに熱い思いを込めて話されるので、聴くほうも思わず引き込まれてしまったのだと思います。正に西野さんご自身がとても「自燃」されているなと感じました。

また、部下の「自立・自燃・自走」を引き出すマネジメントが大切だというのは、リモートワークの場面に限らず、「本来マネジメントとはどうあるべきか?」という根幹に関わる考え方だと思います。リモートマネジメントに関する細かいTipsだけではなく、本質的な話をたくさんしていただけたのもよかったなと思っています。

和田様 私が印象に残っているのは、「雑談の大切さ」を西野さんが力説されておられたことです。リモートワークだと部下とコミュニケーションを取る時間が短くなり、会話の内容も事務的なやりとりだけで終わりがちになります。すると部下が仕事や人間関係で悩みを抱えていても、察知することが難しくなる。だからこそマネジャーのほうから「ちょっと雑談をしてもいい?」と提案し、オンライン上で部下と雑談の時間を設けることが大切だという話でした。

部下との雑談を大切にするというのは、これもまたリモートワークのときだけではなく、普段から意識しておいたほうがいいことだと思います。私も西野さんには、普段から活かせるマネジメント術についての話をいろいろとしていただけたなと感じています。

「オンライン商談講座」でも、本質をしっかりと押さえた内容を期待

― 「リモートマネジメント講座」に続き、まもなく「オンライン商談講座」も開催する予定です。このセミナーについては、西野にはどんなことを求めていますか。

西薗様 「リモートマネジメント講座」のときと、基本的には求めるものは同じです。つまりオンライン商談ならではの注意点や、ちょっとしたコツについての話も当然していただきつつ、そもそも商談においては何が大切なのか、どんな力を身につけておく必要があるかといった根本的な話も、ぜひ盛り込んでいただきたいと考えています。受講者のみなさんも、単なるテクニックだけを求めているわけではないと考えます。

― 「リモートマネジメント講座」や「オンライン商談」は、来年度以降も開催したいと考えていらっしゃいますか。

西薗様 「そこはまさに会員企業様や受講者の方々のニーズを見ながら判断していくべきことです。もしかしたら「リモートでのマネジメント術」や「オンラインでの商談術」を売りにしたセミナーよりも、「そもそもマネジメントとは?」「商談とは?」といった本質的なテーマを追究したセミナーのほうが、ニーズが高まっているかもしれません。そこは世の中の動きを見ながら、またご相談させてください。

― わかりました。本日はお忙しい中で貴重な時間をインタビューに割いていただき、本当にありがとうございました。

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※取材日時 2021年9月
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