東京電力ホールディングス株式会社の社内カンパニーである経営技術戦略研究所様は、「福島への責任」を果たすと共に、「カーボンニュートラル」や「防災」を軸とした価値創造をするため、経営戦略や各事業会社の事業戦略と技術戦略を連動させ、「地域やお客さまの価値創造につながる活動」を行っています。

具体的には、シンクタンク、技術開発、事業創造の3つの機能を有し、各種調査や情報発信、将来の電力事業の核となる研究開発、日々の基幹事業会社・各部門の抱える課題やコストダウンへの貢献を行うと共に、新たな事業の戦略立案や現業事業・事業創造の強化・支援を行っています。

今回、経営技術戦略研究所様では、2024年1月~3月にかけて、7人の受講者を対象に、1回2時間、計15回にわたる英語プレゼン・コミュニケーション研修を実施されました。この研修を企画・運営され、また自らも受講者の1人として研修に参加された研究統括室の和田純一様に、研修を実施された狙いや、研修会社にマーキュリッチを選んだ理由、研修内容に対する評価などについて、お話を伺いました。

グローバルなビジネスシーンに自ら積極的に参加していく社員を増やしたい

― 今回、経営技術戦略研究所の皆様を対象にした英語プレゼン・コミュニケーション研修を実施することにされた理由を教えてください。

和田様 社員の英語コミュニケーション能力を向上させ、グローバルな事業展開に対応できるようにすることが目的でした。

研究所の社員も、近年は国際学会での発表や、海外のビジネスパートナーと技術交流をおこなう機会が増えつつあります。社員の英語力は総じて高く、TOEIC900点以上の高得点者もいます。ただし、これまでビジネスシーンで英語を使用する経験が少なかった社員の中には、英語でのプレゼンテーションやディスカッションに不安を感じている者もいます。そこで研修を通じて英語に対する苦手意識を取り払い、国際会議やビジネスパートナーとの交流の場に自ら積極的に参加していく社員を増やしたいと考えました

― 今回の研修は、1回2時間のプログラムを週1~2回のペースで計15回にわたっておこなうというものでした。この狙いは何でしょうか?

和田様 ヒアリングやプレゼンの基本の「型」を、当社の誰もが知っている共通言語にしたいと考えたからです。そのために一般社員だけではなく、管理職にも実施することにしました。当社には全部で約80人程の営業職がいるのですが、スキルがしっかりと身につくように一般社員層2クラスと管理職層1クラスの計3クラスに分けて実施し1回や2回の単発の研修では、効果が限定的なものになると判断したからです。人間は、学んだことをすぐに忘れてしまう生き物です。英語プレゼンやコミュニケーションに必要なマインドや知識、スキルを、研修の中で繰り返し学習することで、その確実な定着を図っていきたいと考えました。

また週1~2回、集中的に英語を学ぶ環境に身を置いてもらうことで、受講者の中で英語学習が日常の一部として組み込まれ、研修終了後も自主的に英語学習を継続するきっかけになればという思いもありました。

英語プレゼン力とともに、英語コミュニケーション力を身につけさせたかった

― 研修会社にマーキュリッチを選ばれたのはなぜでしょうか?

和田様 複数の研修会社に問い合わせをしましたが、その中で「マーキュリッチさんが最も我々のニーズに合致している」と感じたからです。

まず私たちが重視したのは、ビジネスシーンですぐに使える実践的な英語プレゼン力が身につけられる研修であることでした。その点マーキュリッチさんは、「今ある英語力で、評価を勝ち得る英語プレゼンテーション力を磨く」という独自のコンセプトのもと、体系的な研修プログラムを確立しているところが魅力でした。またカスタマイズ可能な研修プログラムであり、当社の要望に合わせて柔軟に対応してくださることが可能であることも重要なポイントでした。

さらに私たちは、英語プレゼン力だけではなく、会議やミーティング等の場面で自分の意見を述べたり、相手の質問に答えたりといった英語コミュニケーション力全般についても、身につけられる研修にしたいと考えていました。こうした要望をマーキュリッチさんにお伝えしたところ、マーキュリッチさんの研修では、受講者同士が英語でコミュニケーションを行う場面が数多く設定されており、その中で英語コミュニケーション力が磨かれていくとのことでした。また15回の研修の中に、ディスカッションや、プレゼン後の質問への対処法などのセッションも組み込んでいただけました。

もう一つ大きかったのは、講師を務めた西野さんの情熱でした。西野さんは研修前の事前ミーティングの段階から、こちらの要望に熱心に耳を傾け、研修プログラムに反映させようとしてくださいました。講師としての実績は十分でしたから、西野さんであれば安心してお願いできると判断しました。「情熱的な方である」という西野さんに対する最初の印象は、研修が終わるまでずっと変わることはありませんでした。

― 今回の研修の受講対象者は、どのように選ばれたのでしょうか?

和田様 西野さんに相談したところ、受講者数は10名前後が最も高い効果が期待できる研修になるとのことでした。そこで対象を絞る必要があると考え、研修期間中や研修後に英語でのプレゼンや国際会議の予定がある人を優先しつつ、「TOEIC500~700点のスコアを持つ」を条件に募集したところ、7名が応募してきました。

受講者の受講動機はさまざまでした。英語での会議で思うように発言できなかった経験から、実践的なコミュニケーション能力を身につけたいと考えて受講した社員もいれば、TOEICで高スコアを持ちながらも、コミュニケーションについては自信が持てず、その壁を乗り越えたいと考えて参加した社員もいました。

自分の個性や長所を活かした英語プレゼンができるようになった

― マーキュリッチが提供した研修の内容について、どのような評価をされていますか。

和田様 まず毎回の研修の冒頭で、西野さんが「今ある英語力で評価が得られるプレゼンができるようになること」という研修の目標を受講者に対して確認していたことが印象的でした。私も受講者の1人だったのですが、この言葉を聞くことで、「そうだ、難しい表現を使う必要はないし、文法が少しぐらい間違っていたって構わない。今の自分の英語力で、聴き手に伝わるプレゼンを心がけよう」という積極的な気持ちで、演習などに臨むことができました。

研修は、講義と演習が半々程度の割合で構成されており、このバランスが非常によかったと思います。理論を学んだ後に、すぐに実践できるという流れがスキルの定着に効果的だったからです。演習は、時には1人が全員の前でプレゼンを行い、時にはグループやペアを組んで行うというように、さまざまな形式で実施されました。ただしどんな形式でやるにせよ、ある受講者がプレゼンを行ったあとには、聴き手に回った受講者がそのプレゼンの「良い点」と「改善点」をフィードバックすることが求められました。受講者はフィードバックされることによって自分では気づいていなかった改善点に気づかされ、またフィードバックすることによってプレゼンを客観的に分析する力が養われました。

また研修の途中から西野さんの発案で、バディ制度も導入されました。これは受講者を2人1組のペアにして、お互いに学習のサポートをし合う仕組みです。この制度もとてもよかったと思います。バディ同士で宿題の確認をしたり、お互いの成長を励まし合ったりするなどを通じて、モチベーション維持や実行の促進につながりました。

ちなみに誰と誰を組ませるかは、受講者の性格や相性などを見ながら、西野さん自身が決めてくれました。西野さんは、受講者一人ひとりの英語力やプレゼン力だけでなく、性格などについてもよく観察していました。ムードメーカーの受講者に対しては「○○さん、今日も元気ですね!」といったように、受講者によって言葉がけの仕方も変えていました。西野さんが受講者のことをしっかりと把握できていたからこそ、バディ制度も有効に機能したのだと思います。

さらには、受講者の状況を見ながら宿題の量を調整したり、研修内容を微調整したりするなど、柔軟な対応もしてくださいました。

― 15回研修を続ける中で、受講者の成長や変容を実感する場面はありましたか。

和田様 はい。見違えるように成長した受講者がいました。その方は英語に苦手意識を抱いており、最初のうちは英語で話すことを躊躇している様子がありました。けれども西野さんの「今ある英語力で」というメッセージが心に響いたのか、あるときから堂々と英語でプレゼンができるようになりました。もちろん研修の中で、プレゼンのコツをいろいろと教わり習得できたことも大きかったと思います。

もちろん成長したのは、その方だけではありません。今回の研修では、最終回の15回目にプレゼンコンテストを開催しました。審査員として西野さん以外に研究室の所長や室長などにも加わってもらい、「研修で学んだことと今後の決意」というテーマで一人ひとりがプレゼンを行いました。

印象深かったのは、全員が自分の個性を活かしたプレゼンをしていたことです。例えばプレゼンの構成が秀逸だった方もいれば、笑顔などの表情や間の取り方などの表現力に長けていた方もいました。研修中に互いにフィードバックをし合う中で、自分の強みや長所に気づき、それを磨き上げた結果だと思います。コンテストですから、最終的には点数をつけなくてはいけなかったわけですが、ユーモア賞やイノベーションリーダー賞など、それぞれのプレゼンの特徴に沿った賞が審査員から与えられることになりました。コンテストは受講者自身にとっても、自分の成長を実感できた非常によいイベントだったと思います

今後は受講対象をさらに広げ、英語プレゼンに関する研修を実施したい

― 研修後に受講者に対して行ったアンケートでは、受講者は研修に対してどのような評価をされていましたか?

和田様 「研修内容に対する評価」と「講師に対する評価」のいずれも、5点満点中4.4~4.9という高評価でした。
自由回答では、「英語でのプレゼンに対する心理的ハードルが下がった」という感想が多くありました。また「英語に限らず、日本語でコミュニケーションの行う際にも役に立つスキルを学べた」という声もありました。

― 最後に、今後の研修計画について教えてください。

和田様 今回の研修の成果を踏まえ、今後も継続的に英語プレゼン・コミュニケーション研修を実施していきたいと考えています。ただし対象者や実施方法については、より多くの社員が参加できるよう検討を重ねてく予定です。具体的には、さらに高度なビジネス英語スキルの習得をめざした上級コースや、初級コースの導入を検討しています。また研修の回数についても、今回の1回2時間15回コースが最適なのか、あるいは30回コースのように、より長期的な研修にしたほうが効果的なのかについても、考えていきたいと思います。

いずれにしても、グローバルな事業展開を進めている中で、社員一人ひとりが積極的に英語でコミュニケーションがとれるように、組織としてサポートしていきたいと考えています。

― 本日はありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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※取材日時 2024年6月
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