レノボ・ジャパン合同会社は、PCやPC周辺機器の製造・販売、サーバーやワークステーションに関する事業などを展開している会社です。これまで同社のプレゼンテーション研修(2016年度~)や英語プレゼンテーション研修(2018年度~)を、マーキュリッチの西野浩輝が務めてきました。また2020年度のプレゼンテーション研修は、オンラインでの研修となりました。
人事部マネジャーの鋤柄明子様に、当社の研修内容に対する評価と、今回初めて実施したオンラインでの研修に関する手応えについて、お話を伺いました。
受講者が研修に引き込まれていく様子が伝わってきた
― レノボ・ジャパン様とは、2016年度よりプレゼンテーション研修の講師を当社の西野浩輝が務めさせていただいています。また2018年度以降は、英語プレゼンテーション研修にも携わらせていただきました。確か鋤柄様がご担当されたのは、2017年度末におこなわれたプレゼンテーション研修からですよね。
鋤柄様 はい。私がレノボ・ジャパンに入社したのは2018年1月のことで、その直後に人事教育担当者としてプレゼンテーション研修をオブザーブすることになりました。研修の様子を見ていて感じたのは、「西野さんは、受講者を巻き込む力が非常に高いな」ということでした。
西野さんはまず研修の冒頭で、「みなさんはどんなときにプレゼンが必要になると思いますか?」と受講者に問いかけていました。「会議で上司を説得するとき」「お客様に商品の説明をするとき」といった答えに対して、「それだけではありません。ビジネス上のコミュニケーションすべてをプレゼンと考えましょう。」とおっしゃいました。受講者にとって、このひと言はかなりインパクトがあったようです。
というのは当社の研修の場合、受講者は上司からの指名で選ばれます。「自分はプレゼンをする機会なんてほとんどないのに、上司から言われたから来た」という意識の受講者も中にはいます。けれども西野さんのひと言によって、「そうか、お客様と電話で話すときも、上司にちょっとした相談をするときも、すべてがプレゼンなんだな」ということに気づき、研修が他人事ではなくなります。冒頭からぐっと受講者が研修に引き込まれていく様子が伝わってきました。
「楽しさも、緊張感もある研修」だから受講者の集中力が続く
― ありがとうございます。冒頭以降の研修の展開については、どう評価されましたか。
鋤柄様 楽しさと緊張感の両方を備えた研修だと思いました。
まず楽しさについては……、何と言いますか、西野さんってエンターテイナーですよね(笑)。ビッグスマイルで受講者に話しかけたり、ところどころで愛嬌のあるコミカルな表現をされたり……。受講者を退屈させることがありません。
一方で、次々と名指しで受講者にいろいろと質問をしていくので、受講者は「次は自分が当てられるかも」と、気を抜くことができません。
特に受講者が高い緊張感を持ちながら臨んでいるのが、受講者がおこなったプレゼンに対して、他の受講者がフィードバックをする場面です。マーキュリッチさんのプレゼンテーション研修では、他者のプレゼンを聴いたときに、的確なフィードバックができるかどうかを非常に重視されていますよね。他者のプレゼンを適切にフィードバックできるようになれば、自分のプレゼンについても、的確に自己分析をおこなって自力で改善していくことが可能になるからです。
ですからマーキュリッチさんの研修では、「他者のプレゼンに対して受講者がおこなったフィードバックの内容を、講師がその受講者にフィードバックする」という「フィードバックへのフィードバック」がおこなわれます。そのため受講者は、自分がプレゼンをしているときよりも、人のプレゼンを聴いていているときのほうが真剣なぐらいです。みなさん必死でメモを取りながら聴いています。
こんなふうに「楽しさもあり、緊張感もある研修」になっているから、受講者は2日間集中力が続くのだと思います。
日本人でもできる英語プレゼンを強く意識した研修だった
― 2018年度以降には、英語プレゼンテーション研修も実施されました。なぜこの研修を実施することにしたのでしょうか。また研修会社にマーキュリッチを選んだ理由は何でしょうか?
鋤柄様 当社は外資系企業です。そのため日本法人の各部門は、アジア・パシフィックに対して事業の進捗状況などを英語でプレゼンしなくてはいけない場面が多々あり、近年その機会が増えつつあります。
ところが社員は、必ずしも英語に堪能な者ばかりというわけではありません。また日本語でのプレゼンについても、まだ体系的に学んだ経験がない社員が数多くいます。そうした社員は、英語にもプレゼンにも自信がないまま、英語プレゼンに臨まなくなくてはいけなくなります。
そこでプレゼン自体について体系的に学ぶことができ、なおかつ英語が得意ではない社員のために、日本語で英語でのプレゼンの仕方を教えてくれる研修が必要だと考えました。「それならやはりマーキュリッチさんだろう」ということになったのです。何より西野さんであれば、これまでの研修で講師としての実力はよくわかっていましたから、安心してご依頼することができました。
― 英語プレゼンテーション研修についての評価を教えてください。
鋤柄様 印象深かったのは、「英語プレゼンだからといって、ネイティブがやるようなプレゼンを目指す必要はまったくない」という西野さんの言葉でした。
例えば無理に冗談を挟む必要はないし、正確に発音できないからといって、気後れする必要もない。「誰に何を伝えたいのか」という目的とメッセージを明確にしたうえで、コンテンツを練り上げ、熱意を持って話せば、聴き手の心を動かすことは十分に可能だとおっしゃっていました。
受講者の英語プレゼンに対する西野さんのフィードバックも、細かい文法的な誤りや、「もっとこういう言い回しにしたほうが、英語的に洗練された表現になる」といった類いの指摘はまったくなく、コンテンツの内容や組み立て、話し方に重点を置いていました。「ネイティブではない日本人でもできる英語プレゼン」を強く意識した研修だと思いました。
オンラインでも、場の空気を作り受講者を研修に巻き込んでくれた
― 2020年度のプレゼンテーション研修は、新型コロナウイルスの感染拡大を考慮して、オンラインでおこなうことになりました。オンラインでの研修については、当初は不安はありませんでしたか?
鋤柄様 正直に言うと、ありました。一つは西野さんの「受講者を巻き込みながら場の空気を作っていく力」が、どうしてもFace to Faceでの研修と比べれば、発揮しにくくなるではないかということでした。また受講者の集中力を維持させるのも、大変になるのではないかと危惧していました。
あとは受講者にプレゼンをおこなってもらう際に、オンライン上でのプレゼンだと、細かい表情や身振り手振りなどがリアルと比べて伝わりにくくなります。そうしたデリバリー面に関してのフィードバックについても、難しくなるかもしれないと思っていました。
― 実際にオンラインでの研修をおこなってみて、どういった感想を抱かれましたか?
鋤柄様 まず「巻き込み力」については、「さすが西野さん!」という感じで、何も心配する必要はなかったことがわかりました(笑)。当日は画面をバーチャル背景にして研修に参加していた受講者が多かったのですが、西野さんは一人ひとりに対して、「おっ、それは○○風の背景ですね」などと気さくに話しかけるなどして、すっかり場を和ませ、受講者を研修に引き込んでいました。
研修が始まってからは、普段以上にペアワークの時間を細かく設けていました。またチャットを使って受講者から意見や質問を募るなど、オンライン独自のツールも効果的に活用していました。そんなふうに受講者が能動的に研修に参加する場面を増やすことで、集中力が途切れないように工夫してくださったのだと思います。
― 不安要素の一つだった「オンラインだと、受講者のデリバリー面に関するフィードバックが難しくなるのではないか」という点はどうでしたか。
鋤柄様 オンラインだと、画面には受講者の胸のあたりから上しか映りませんから、確かに身体を大きく使ったボディランゲージについては、フィードバックはできなくなります。けれども豊かな表情ができているかや、視線が手元の資料ばかりに向いていないか、声の強弱を十分につけることができているかといったことは、画面越しでもきちんと伝わり、西野さんもフィードバックをすることができていました。
オンラインだからといって、そこまでデリバリーに関するフィードバックが難しくなるということはありませんでした。
「業務でもオンラインが増えているから、研修もオンラインでよかった」という声も
― 今回のオンラインでの研修について、受講者のみなさんからはどんな評価をいただいていますか?
鋤柄様 研修後に実施したアンケート調査では、受講した11人のうち「講師への満足度」については、なんと全員が5段階で「5」の評価をしていました。また「研修内容への満足度」についても、「4」が2人いたのを除いて、あとは全員が「5」でした。オンラインでの研修という初めての試みに対して、これだけ受講者からの評価が高かったというのは、大成功といっていいのではないかと思います。
また受講者からの感想の中には、「実際の業務でもオンラインでお客様とやりとりをする場面が増えているので、研修もオンラインで受けられて逆によかった」という声がありました。今回の研修は、「オンラインでのプレゼンのやり方を学ぶこと」を目的としたものではなかったのですが、受講者の中にはプレゼン自体に対するコツや考え方が身についただけでなく、オンラインでのプレゼンについても、抵抗感が下がったり、自信がついたりした者もいたようです。
― オンライン研修を実施してみて、リアル研修よりも、むしろオンライン研修のほうが優れていると感じられた部分は何かありましたか?
鋤柄様 一つ挙げるとすれば、地方の事業所で働いている社員が、研修を受けるためにわざわざ東京の本社に出張しなくても済むことです。受講者本人も時間を効率的に使えますし、会社も出張費を削減できます。
今回のことで、少なくともマーキュリッチさんにお願いしているプレゼンテーション研修については、オンラインでもFace to Faceと遜色ないレベルの研修ができることを実感できました。今後のことは未定ですが、もしかしたら新型コロナウイルスの感染状況に関係なく、マーキュリッチさんにはこれからも研修はオンラインでお願いすることになるかもしれません。
― そのときはまたよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
※レノボ・ジャパン合同会社 ホームページ
※取材日時 2020年10月
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