アバナード株式会社は、Microsoft社の製品に特化したソリューションの提案や、システムの設計・開発・導入・保守などを手がけているグローバルITソリューションカンパニーです。
今回同社では、プレゼンをする機会の多いマネージャークラスのエンジニアを対象に、「Presentation Skills Clinic」という名称の研修を実施されました。
その研修講師を務めた西野浩輝が、研修を受講されたマネージャーの髙橋直樹様に研修で得た気づきや学びについて、そして同社HRディレクターのキム・スンジャ様に今回の研修の狙いについて、インタビューを行いました。後半では、キム様へのインタビューの様子をご紹介します。(前半はこちら)
お客様の目線に立ったプレゼンができる力を身につけさせたかった
西野 今回御社では、マネージャークラスのエンジニアの方を主な対象とした「Presentation Skills Clinic」という研修を実施し、その講師を私が務めさせていただきました。まずはこの研修を行おうと思われた理由を教えてください。
キム様 当社はアメリカ・シアトルに本社を持つITソリューションカンパニーであり、Microsoft社の製品に特化したソリューションのご提案や、システムの設計・開発・導入・保守などを手がけています。サービスの提案や導入をする際には、お客様のところに営業職とともにエンジニアが伺い、エンジニアは主に技術面についてのご説明を行います。
お客様は、必ずしもITに関する深い専門知識を持っているわけではありません。本来であればエンジニアは、お客様の知識や抱えている課題、興味関心に応じて、話す内容や話し方、言葉の選び方などを変えていく必要があるわけですが、当社の中でそれがきちんとできているエンジニアは少ないと感じていました。
またパワーポイントを使ってお客様にプレゼンテーションを行う際にも、文字がぎっしり詰まったスライドを作成するなど、資料作成にも課題があると感じていました。
そこでお客様にご提案やご説明をする機会が特に多いマネージャークラスや、その一歩手前のポジションにいるシニアコンサルタントクラスのエンジニアを対象としたプレゼン研修を実施しようと思ったわけです。
受講者に求めたのは、「高い意識を持って研修に臨んでもらうこと」
西野 研修会社として、マーキュリッチを選んでくださったのはどうしてだったのでしょうか。
キム様 「当社がどんな課題を抱えていて、それをどう解決したいと思っているのか」についてのニーズを深掘りして聞いたうえで、当社用にカスタマイズした研修プログラムを提案してくださったことが大きかったですね。研修中に出される課題も、当社のエンジニアが実際に仕事の場面で直面する内容に即したものにしていただくなど、私たちの実情に合わせたメニューを提供しようとしてくれていることを強く感じました。それで西野さんにお願いすることにしたのです。
西野 ありがとうございます。「研修を導入する会社様が抱えている課題の解決に直接結びつくプログラムを提案すること」は、常にマーキュリッチが重視していることです。特に今回は、キムさんがこの研修に並々ならぬ思いを注がれているのを感じたので、私のほうも普段以上に熱が入りました。
キム様 私はこの研修に関しては、「何とか自分のプレゼンスキルを改善させたい」「もっと自分を成長させたい」と強く思っている社員だけに受講してほしいと考えました。マーキュリッチが用意してくださったプログラムは、濃密なものになることが予想されましたから、受講する側にも高い意識が求められると思ったのです。
ですから今回は人事や上司が受講者を指名するかたちではなく、社員自身に手を挙げてもらう希望制にしました。また受講者に対しては、どんなに仕事が忙しくても欠席や中抜けをせずに、2日間の研修を完走することを約束してもらいました。
西野 私からお願いしたのは、少人数の研修にしたいということでした。2日間の研修期間中に受講者に深い気づきを得てもらうためには、講師が一人ひとりに対して踏み込んだ指摘をしていく必要があります。そのためには受講者を7~8人程度に絞ったほうがよいと思いました。
1日目が終わった段階で、早くも受講者の変化を実感
西野 キムさんは研修の間、ずっと会場の中で研修の様子を見守っていましたよね。どんな感想を持たれましたか?
キム様 予想通り濃密な内容でした。ふんだんに実習が盛り込まれていて、受講者はみんなの前で模擬プレゼンをすることが求められるだけでなく、自分のプレゼンが終わったあとも、ほかの受講者のプレゼンを聞いたうえで、その受講者に対してフィードバックをすることが課されます。ですから小休憩をしている暇なんてまったくありません。
そのせいか、1日目が終わった段階で、早くも変化が現れている受講者がいました。研修前はぼそぼそとした喋り方をしていたのが、1日目が終わるころには、背筋を伸ばしてよく通る声で話せるようになっていた。見た目からして、明らかに成長が見られた受講者がいました。
西野 実は1日目は、声の出し方についてはそんなにくわしくはやってはいないんです。ただ、「プレゼンでは、自分が言いたいことを相手に話すのではなく、相手が聞きたいと思っていることを話しましょう」といった、プレゼンに臨むにあたっての根幹となる、マインド面についての話をことあるごとにしました。
おそらくその受講者の方は、相手の目線に立ち、相手の心に訴えかけるプレゼンを意識するようになったことで、自然と姿勢や声の出し方も変わったということだと思います。
ちなみに私は研修の際には、マインドとスキルのバランスを強く意識するようにしています。どんなにスキルを磨いても、マインド面が欠落していたら、優れたプレゼンターになることはできませんから。
受講者の状況は、マインドセットは適切だがスキルが伴っていない方もいれば、逆にスキルに偏りすぎて、本質的でないテクニックに走っている方もいるというように、それぞれ異なります。そこで私は一人ひとりの受講者の長所と課題に目を向けながら、「この方のスイートスポットはどこにあって、どの部分を指摘すれば大きく伸びるだろうか」ということを意識しながら、研修に臨むようにしています。
「もっと上のレベルを学びたい」という要望に応え「Advanced Course」を開講
キム様 研修後、受講者にアンケートを実施したところ、非常に高い評価が出ました。ほぼ全員が最高得点をつけてくれました。「ぜひほかの社員にも受講を勧めたい、もっと早い段階で受講すべきだ。」という声を多くもらいました。そこでまた西野さんにお願いして、今度は受講者の顔ぶれを替えて、「Presentation Skills Clinic」の第2弾、第3弾を実施しました。
西野 ええ、そうでした。あとは「Presentation Skills Clinic」を受講していただいた方々の中から、さらに希望者を募って、「Advanced Course」も実施しましたよね。「Presentation Skills Clinic」修了生の中から計3人の方が受講してくださいました。このコースを企画した意図を教えてください。
キム様 受講者自身から、「もっと上のレベルのプレゼンを西野さんから学びたい」という要望が出てきたからです。受講者がそんなふうに言ってきてくれたのはうれしかったですし、思いに応えないわけにはいかないという気持ちになりました。そこで西野さんからより深く・濃い指導が受けられる「Advanced Course」を企画することにしたんです。
私自身は、「Advanced Course」を受講した社員に対して、ある期待感があります。当社はグローバルカンパニーということもあって、日本の顧客向けに重要なプレゼンがあるときには、アメリカの本社などから社員が来日して、プレゼンを行うことがよくあります。確かに彼らのプレゼンは、聴き手を魅了する力があります。
けれども私としては、海外から来日してもらうばかりではなく、逆に日本法人の中から世界に出て行ける人材が育ってほしいと思っています。また彼らには日本法人の中で、ほかの社員に良い影響や刺激を与えられるインフルエンサーの役割も担ってもらいたいと考えています。
新入社員向けのプレゼン研修もマーキュリッチに依頼
キム様 そのほかにもマーキュリッチには、今年度は「プレゼン魂forフレッシャーズ」と名付けた新入社員向けのプレゼン研修についても、講師をお願いしました。新入社員に自己理解を深めさせたうえで、自分の強みや個性を活かしながら会社に貢献していくにはどうすればいいかを考えさせ、その考えを表現する力を身につけることを目的とした研修でした。
マーキュリッチのプレゼンに関する確かな指導力については、私たちは強く、高い信頼感を抱いています。「Presentation Skills Clinic」の研修は、ぜひ今後も続けていきたいと考えています。
西野 こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうごございました。
※実際に受講頂いた髙橋様へのインタビュー記事はこちらから
※アバナード株式会社のホームページ
※取材日時 2019年7月
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