

あいおい保険総合サービスについて
─ あいおい保険総合サービスについて教えてください。
あいおい保険総合サービスは、あいおい損害保険の委託に応じて、不動産管理や人材派遣、庶務的な業務を中心に事業展開している受託業務会社です。
社員数は213名。受託した業務を迅速確実、的確に、効率的にこなすことをモットーとしています。
マーキュリッチをどう活用したか
─ 御社では、マーキュリッチをどのように活用しましたか。
あいおい保険総合サービスは、マーキュリッチに社内向けリーダーシップ研修を依頼しました。研修の概要は以下のとおりです。
なぜリーダーシップ研修を受けたのか
─ あいおい保険総合サービスは、なぜ今回、マーキュリッチのリーダーシップ研修を受けたのですか。
今回のリーダーシップ研修は、組織を束ねるリーダーである管理者の能力を高めるために実施しました。
今年度、あいおいグループ全体の経営方針のひとつに、「人材基盤の強化」があります。
「人材」の「材」は、「財産」の「財」。我々の仕事には生産設備があるわけではありませんので、個人の思考力や行動力など、「人」が財産です。持てる力をより強化して、力を発揮してもらいたい。
人材にもいろいろな階層がありますが、まず最初の足がかりとして、組織の要である管理者の能力アップが有効だと考えました。
研修会社を選定した際の「要件」
─ 研修会社を選定する際に、何を要件としましたか。
研修会社に求めた要件は以下のとおりです。
要件1:「あいおい保険総合サービスのニーズにマッチするカリキュラムが提供できること」
あいおい保険総合サービスは、受託業務会社であり、一般的な営業活動をしているわけではありません。この前提条件や社風に見合ったカリキュラムが必要であると考えました。
要件2:「経験豊富な講師による研修が受講できること」
実績ある講師の研修を希望しましたので、プロフィールは重視しました。
要件3:「精神論ではなく、技術的であること」
受講者はサラリーマン生活の長い50代の管理者です。「気合い」や「カリスマ性」を求めるような精神論は受け入れ難い。理論的、技術的な内容を求めました。
要件4:「座学ではなく実践的な内容であること」
座学が中心では、正直な話、受講者が飽きてしまいます。プロの管理者として、実際に行動を変えて実践してもらえるこ研修内容をを希望しました。
要件5:「費用がリーズナブルであること」
単純に計算して、管理者16名を10時間以上、合計で170時間以上拘束します。その間、通常の業務は行わないわけですから、費用対効果は高めたいと考えました。
以上の要件を基準として、研修会社2社を比較検討しました。
なぜマーキュリッチを選んだのか
─ マーキュリッチを選択した理由はなんですか。
第一に、マーキュリッチは、コミュニケーション研修が充実していたからです。
そもそも、リーダーシップの根幹はコミュニケーションであると考えます。マーキュリッチの研修内容は、そのコミュニケーションが重視されており、あいおい保険総合サービスが求めるものに近く、また信頼できると考えました。
第二に、マーキュリッチのプレゼンテーション能力が高かったからです。
講師であるマーキュリッチ代表の西野さんの実績もさることながら、「リーダシップとはこういうものですよ」というご説明と内容が理解しやすかった。
特に、リーダーの役割として述べられている「モチベーションの促進、職務スキルの指導、職務行動の管理」などは、まさにあいおい保険総合サービスが管理者に求めるものでした。
第三に、無理のない内容であったからです。
マーキュリッチのカリキュラムは、「基本をふまえて、個性を生かす」という理論体系でした。はじめてのリーダーシップ研修ですし、基本について勉強する機会のなかった社員もいますから、この内容なら受け入れやすく、生かしやすいと考えました。
以上の理由で、あいおい保険総合サービスは、マーキュリッチに研修を依頼することにしました。
そして、2009年5月と6月に、弊社会議室でリーダーシップ研修を実施しました。
参考情報:リーダーシップ研修のテキスト(一部抜粋)
参考情報:実際に行ったリーダーシップ研修のプログラム
◆リーダーに必要な影響力の本質とは?
・PM理論から分かる「リーダーの3つの役割」とは?
・モチベーションのための2つの感情
Self-efficacy / It’s gonna happen
・本質は「部下に対する現状肯定・未来もっと肯定」
◆リーダーの魅力的なあり方と中心軸 Be
・リーダーが与えるべき3つの「感」
・部下は最大の顧客である
・「やってみせる」の本当の意味
◆リーダーにとっての伝える力 Show&Tell
・説得は、「パトス」と「ロゴス」で考える
・教えるときこそ「2-way」で
・思いを伝えるリーダーシップ
◆リーダーは働く環境と整える Support
・メンバーの状況を聞く4つの「質問技法」
・メンバーの疑念・不満の裁き方 : 基本4ステップ
・「楽しさ」「ユーモア」という潤滑油を加える
◆リーダーの褒め方・気づきの促し方
・褒めるところを見つける「3つの観点」
・叱る際はTPTで考える
叱った後のフォローのコツ
◆3つの成長サイクル
・サイクルはなぜ成長するのか?
・ゴールは「部下がセルフサイクルを回すこと」
リーダーシップ研修への評価
─ 今回のリーダーシップ研修への評価をお聞かせください。
研修は、要件どおりの満足のいく内容でした。
西野さんの研修の良い点は、次のとおりです。
理想論に走らない。地に足がついた理論構成であること。
管理者研修は初めてでしたが、日常の管理者としての役割の理解が、基本をしっかりとふまえて講義していただけました。
講義のディスカッションとのバランスがとれていること。
講義中心ではなく、グループやマンツーマンでディスカッションを行い、気づきを起こさせるという方法でしたので、常に緊張感をもって研修に臨めました。
講義とワークが交互に頻繁に訪れるので、受講者を飽きさせず、バランスのよい研修だったと評価します。
個別にひとりひとりをよく観察していること。
「この人はこういうところがありますね」「このような体制ですね」など、的確に社員や会社の性質を理解していただいていました。決して、全員が同じ人間ではありませんから、このように理解して進めていただけると安心感があります。
研修受講中のエピソード
─ 研修中の受講者の様子について、印象深いエピソードがあれば教えてください。
今回は、初めてこのような研修を受ける社員が半数いました。
初回こそ戸惑う姿も見受けられたものの、2回目、3回目と受講するうちに、西野さんと受講者との呼吸が合って、会議室全体が熱を帯びてくるのがわかりました。
グループディスカッションも、くり返すたびに積極的になりましたし、宿題も精力的にこなしていました。
印象深かったのは、ある50代の社員の変化です。
最初は研修を受講すること自体に不信感を持っており、「なんのための研修なのか」と尋ねてきたほどでした。姿勢も、斜にかまえて、首をかしげている。
ところが、研修がはじまると、西野さんのスピード感あるレクチャーに引き寄せられるように、熱心な顔つきに変わりました。2回目以降の研修では、積極的に前に乗りだして受講する姿が見られました。
職場での実践
─ 研修によって、受講者が実際に職場で実践したことがあれば、お聞かせください。
今回のリーダーシップ研修は1週間おきに3回実施し、研修と研修の間に、職場で実践したこと、気づいたことを書き、発表するというワークがありました。以下は、ある社員の発表です。
職場実践の振り返り
この1週間で、職場において、実践したこと、心がけたこと
・苦手な部下とコミュニケーションを多くとるようにした
・「その相手がどうしたいのか」ということを中心に、その人をよく観察した上で、相談にのった
・元々決まっている仕事の期限の手前で、早めにチェックを入れた
・明るく振る舞うことを心がけた
やってみて、気づいたこと、感じたこと
・苦手な人から「かなり好印象を持たれたな」と感じた
・最小限の残業で仕事が間に合うようになった。以前はギリギリでチェックしていたので、仕事が間に合わなくなったり、不必要な残業をしなければならなかったが、それがなくなった。
・相談や意見を、部下から求めてくる回数が多くなった
・グループ内での討議が活発になった
最初は、研修の受け方もわからない、理解の仕方もわからない、という状態から、「実際にやってみたらわかった」「効果が出た」という声が出た。研修は、気づきと行動促進が一番大切です。そのよい機会になったと考えます。
リーダーシップ研修は、受講後すぐに効果が出るわけではありません。しかし、プロの管理者として身近なところから行動を変える、という姿勢がすぐに見受けられ、今後の変化に大きな期待が持てると考えます。
受講生からのアンケート評価
─ 受講生からのアンケート評価はいかがでしたか。
受講生には大変好評でした。以下は、実際のアンケートの例です。
- 「仕事は社歴を積めば知識が増えてきます。しかし、マネージングは社歴よりも自分の性格もある程度変えなくてはならない。性格を変えるのは社歴では解決してくれない。社歴は自分の個人プレーでは通用するが、マネージングは自分の力だけでなく、相乗効果が現われて、会社にプラスになる。こうした内容が今回の研修でよく認識することができました。」
- 「理想のリーダー像について今まで考えたことがなく、今回のセミナーで自己の考え方を学び身になりました。非常に良かったと思います。」
研修を成功させるためのコツ、ツボ、注意点
─ 今回、実際に研修を実施してみてわかった「研修を成功させるための、コツ、ツボ、注意点」などあれば、お聞かせください。
研修を実施してみて実感したのは、まず第一に、自社の現状を把握し、研修目的を明確にすることです。
研修を受けるとなると、つい「あれもこれも治る特効薬を欲しい」と望んでしまいます。しかし、それでは、漫然として、受講者にとってポイントのつかめない研修になってしまいます。全体の方針から、課題を見つけ出し、自社の規模や受講者数など現状に見合ったカリキュラムを探すことが重要です。
第二に、フォローアップが大切です。
リーダーシップ研修は、漢方薬のようなものです。受講すればすぐに効果が現われるという性質のものではありません。社員全員で考えて努力し、フォローアップしていくことが大切だと実感しています。
具体的には、一定期間後、受講者に「学んだ事を実践しましたか。実践してどうでしたか」と質問し、発表する機会をもうけるなど考えています。
今後の期待
─ マーキュリッチへの今後の期待をお聞かせください。
今回は管理者でしたが、社内にはいろんな階層があり、それぞれに強化しなければならない点があります。
仕事の専門的な知識は、各人や各部署が努力するべきですが、それ以外の共通のスキルやノウハウ、考え方などは、研修によって身につけ、高めていけるものです。今後も機会を持って提供していきたいと考えていますので、マーキュリッチには良きアドバイスをいただければ幸いです。
マーキュリッチはコミュニケーション関係の研修がお得意です。
ビジネスは事務処理と、コミュニケーションが基本ですから、階層別研修として今後もよいカリキュラムを期待しています。
─ 株式会社あいおい保険総合サービス様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
※ 取材日時 2009年6月