とあるクライアントさんに「私の指導を受けてみて、他のコンサルタントに教えをうけるのと何が違いますか?」と尋ねてみました。そのとき最初に返ってきたのが「野村さんはどういうプレゼンだと反響が得られるのかのブループリントを持っていますよね」というものでした。
ブループリント。日本語で言えば設計図。
なるほど、的を射ていると思いました。
ここでいう設計図は単にフォーマットとかテンプレートという意味ではなく、うまく事を進めるための道筋を知っているといった意味でした。
このクライアントさんの言葉の背景にあるのは、私の指導がどうこうの前に「設計図を持っておこなう仕事の成功確率と、そうでない仕事の成功確率のギャップ」に息を吸って吐くかのように自然と注目しているということであり、そこに私は感心してしまいました。
設計図なしで仕事を進めても、期待した結果は得にくい
たとえば、家を建てるのに設計図なしで手を付け始めるような無謀なことは誰もしません。なのにビジネスの土俵では設計図なしに仕事が進められる場面が散見されます。
自分の専門領域でいうならば、通る提案書の設計図を持たずして(どういう提案内容をどういう順番で届けると通る確率が高いのかを知らずして)、提案書を作る。人を動かせるプレゼンの設計図を持たずしてプレゼンを作る。
家を建てることに例えれば、いかに愚かなことかは一瞬でわかるのに、ついついやってしまいます。
私も専門領域以外ではそんなことばかりやっている・・・
かくいう私も、振り返ればそんなことばかりやっているのに気づきます。いや、自分の専門領域以外のあらゆることに関してやっていると言っても過言ではありません。
一例ですが、私は”値付けの設計図”というものを持っていません。自分の商品・サービスに値付けをするときに、他商品とのバランスや競合商品との比較くらいで値付けをしていることに気付きます。到底戦略的とはいえません(自己反省)
事業モデルの設計ということに関してもそうです。一般的なビジネスパーソンと比べれば、事業家のひとりとして知識・経験ともに十倍はあるとは思いますが、自分の専門領域(プレゼン・提案の設計図)と比べれば、手持ちのものが荒っぽいものしかないと気付きます。その道のプロとは比べるべくもありません。
たとえるならば、キッチンやリビングの場所は描かれているけれど、コンセントの場所など細部が描かれていないラフ設計図でしかないような感じ。
あなたが自社で持っている設計図はどんなもの?
あなたはどうでしょうか?
あなたのいる部署のメンバーはどうでしょうか?
- 何に関する緻密な設計図を持っているか?
- 何に関しては設計図とも呼べないざっくりしたもので勝負してしまっているか?
- 何に関しては、そもそもアバウトなものすら持っていないか?
ビジネスが家づくりと違うのは、自分たちがどんな設計図を持っているか(あるいは持っていないか)に無自覚になってしまうところです。ふと立ち止まって考えてみたとき、始めて認識できるものが多いということです。
設計図を持っていないと気付いたら
じゃあ、自分たちが緻密な設計図を持っていないということに気付いたときどうすればいいのでしょうか?
選択肢は4つあります。
1つ目は何も変えないという選択。
今までだってなんだかんだ言いながらやってこれたのだから大丈夫だろうと考えることです。確かに進化はないかもしれませんが、何かを変えるリスクを避けることができます。
2つ目は、自分たちで設計図づくりを始めるという選択です。
時間とコストはかかりますが、その設計図をつくるプロセス自体で得られる成長は大きなものがあります。ただ怖いのは、それが高いレベルで仕上がるまでの間ずっとアマチュアレベルで勝負しなければならないということです。
3つ目は、外部から設計図を仕入れるという選択です。
教育やコンサルティングを通じて、短時間・短期間でそれらを社内に根付かせようという考え方です。注意ポイントがあるとしたら、自分が仕入れようとしている設計図は本当に自社にマッチするのかどうかを判断しなければならないということです。
4つ目は、外部にアウトソーシングするという選択です。
自社の専門領域でない部分は外に出してしまおうという考え方です。これもまた、ひとつの大切な選択肢。
ちなみに弊社では、3と4の選択肢をとることが多いです。
なんでも自分でやりたい私はついつい2の選択肢で自分でやろうと思ってしまいがちですが、それだとスピード競争に負けるのを経験的に知っているので、意識して2の選択肢を排除しようと考えています。
自社でやるべきことの行動ステップ
手順はシンプルです。
1.自社が持っている設計図・持っていない設計図を明確にする
2.持っていなければ4つの選択肢からどれかを選ぶ
もし御社がプレゼンテーションや提案書などの「提案力強化」の領域で設計図が十分でないと考えて、それを3か4の選択肢で何とかしたいとお考えなのであれば、お問合せください。弊社の設計図できっとお力になれます。