NIPPON EXPRESSグループ(以下、NXグループ)様は、日本通運株式会社をはじめとするグループ会社より構成される日本最大の総合物流会社です。
NXグループでは今回、公募型でオンライン商談研修を実施されました。グループ全体の人財育成計画や研修の企画・運営を担当している日本通運株式会社人財戦略部NXグループユニバーシティ次長の赤木和司様(インタビュー当時の所属)と森川知春様に、オンライン商談研修を実施した狙いや研修会社にマーキュリッチを選んだ理由、マーキュリッチが提供した研修をどう評価されているかについてお話を伺いました。
オンライン商談に苦戦している社員に対して、手立てを講じたかった
― NXグループ様では2022年6月と9月、公募型のオンライン商談研修を実施されました。御社では社員のオンライン商談スキルについて、どのような課題意識をお持ちだったのでしょうか。
赤木様 コロナ禍以降、私自身もオンラインで商談をする機会が増えたのですが、そこで課題として感じていたのは、オンラインの場合、対面での商談以上に「個人の商談力の差」が出やすいということでした。
対面での商談では、お互いに同じ部屋の中にいるわけですから、こちらの提案の仕方や提案内容がどのようなものであれ、こちらの話をしっかりと聞かなくてはいけないという意識がお客様の側には働きます。
ところがオンラインでは、画面の中ではお互いに顔周りしか相手には映りません。そのためこちらの提案に興味が湧かなければ、極端なことをいえば、先方は話を聞いているふりをしながらメールを打つなどの別の作業をおこなうこともできてしまいます。つまりオンライン商談のほうが、いかに先方の興味関心をこちら側に引きつけ、集中力を維持させるかが難しいといえます。
もちろんオンライン商談が頻繁に行われるようになってから、ずいぶん時間が経過しましたから、オンラインならではのコツを掴み、目に見えて熟達している社員もいます。一方で我流で取り組んではいるものの思うように成果が出ず、今もなお悩んでいる社員も中にはいます。何らかの手を打たないと、このままではその差が開くばかりになるのではないかと考え、今回オンライン商談研修を実施することにしました。
「明日から使えるテクニック」をいくつも持っていると感じた
― マーキュリッチのことはどのようにして知りましたか。
赤木様 インターネットで研修会社をいろいろと検索していたときに、見つかった会社の一つがマーキュリッチさんでした。調べてみると、オンライン商談研修やリモートマネジメント研修など、オンライン上でのコミュニケーションやビジネスの進め方についての研修に非常に力を入れていることがわかりました。そこでまずは最初にマーキュリッチさんに連絡を取り、どんな研修をしてくださるのかについて話を伺ってみることにしたのです。
― マーキュリッチから研修についての説明を受けた結果、どのような印象を抱かれましたか?
赤木様 「マーキュリッチさんはオンラインに強い」という触れ込みに偽りはないと感じました。私の心の中では、説明を伺い始めてから最初の5分ぐらいの時点で「研修はぜひこの会社にお願いしよう」と決まっていました。
商談の場には、今回講師を務めた野村さんも出席していました。その野村さんがまず最初に話されたのが、オンラインで商談をおこなうときの画面上のアングルについての注意点でした。私もオンライン商談では提案の内容と同じぐらいに、画面を通じて先方にどのように自分の姿が見えているかが大切になってくると考えています。第一印象で「頼りなさそうだな」とか「信用できそうにないな」と感じさせてしまったら、それだけで先方はこちらに対して聞く耳を持たなくなってしまうからです。
ほとんどの社員は「自分が画面上でどう見えているか」に意識を向けずにオンライン商談に臨んでいます。ですから野村さんであれば、これまで考えもしなかった着眼点から気づきの多い研修を受講者にもたらしてくれるのではないかと思いました。
森川様 多くの受講者が研修に対して求めているのは「明日から使えるテクニックを教えてほしい」ということです。その点マーキュリッチさんは「画面の背景はシンプルなほうがいい」「画面にはこちらの身振り手ぶりが相手に見えるように、胸から上が映るようにしたほうがいい」といった、誰でもすぐに実践できるテクニックをいくつもお持ちだと思いました。
また単なるテクニックだけではなく、オンライン商談に対する本質的な「考え方」と「やり方」をセットで受講者に伝える研修を実施してくれそうだとも感じました。
例えば「オンライン商談の場合、会話が一方通行になりやすく、聞き手が集中力を維持するのが難しい」といった考え方を示したうえで「聞き手の集中力を途切れさせないためには、時々聞き手に対して問いかけを入れるようにするといい」といった具体的なやり方を受講者に示してくれるといったようにです。そのため受講者は「なぜそのテクニックが有効なのか」という理由や狙いを理解したうえで、さまざまなテクニックを身につけることができるだろうと思いました。
受講者を最後まで飽きさせない研修プログラム
― 実際に今回実施した研修に対しては、どんな評価をされていらっしゃいますか。
森川様 研修の前半と終盤では、受講者の話し方や表情、画面のアングルや背景の設定の仕方などに大きな変化が見られ、ロールプレイを通して受講者の成長ぶりが手にとるようにわかりました。
受講者が短時間で変容を遂げられた理由として、講師の野村さんご自身がオンラインでのビジネス・コミュニケーションのプロであり、望ましいオンライン商談のあり方を自ら体現できる方であったことが大きかったと思います。野村さんは研修の中で、オンライン商談における良い例と悪い例をいろいろと実演してくださいました。ですから受講者は野村さんをロールモデルにしながら、オンライン商談に必要なスキルを身につけることができました。
今回の研修の中で、私が特に印象に残っているのは、野村さんがマイクを使った場合と使わなかった場合とで、相手に与える印象がどのように変わるかを実演された場面です。受講者にとっては「本当に質の高い商談を実現するためには、機材一つにまでこだわる必要があるんだな」という意識づけになったと思います。
また野村さんは、受講者のロールプレイングに対するフィードバックも、適切かつ丁寧でした。すると野村さんのフィードバックを参考にして、受講者同士で行うフィードバックの質も次第に上がっていきました。最初のうちは声の大きさや笑顔の有無といった指摘が中心でしたが、後半には話すときの間の取り方や、相手に問いかけるタイミングといったところにまで指摘が及ぶようになりました。
オンラインで商談をおこなう際のポイントや注意点を受講者自身が会得したからこそ、ほかの受講者に対しても細かいフィードバックはできるようになったということだと思います。
― 受講者のみなさまは、最後まで集中力が途切れることなく研修に臨んでいる様子でしたか。
森川様 はい。今回は1回7時間の長時間のプログラムでしたので、集中力という点は私も心配だったのですが、まったくの杞憂に終わりました。野村さんはまず研修の序盤に、受講者にとって一番関心のある具体的なテクニックの話をされました。そうやって受講者の心をぎゅっとつかんでおいたので、そのあとに少し理屈っぽい話をしても、彼らの心が離れることはありませんでした。またロールプレイングなどのワークもふんだんに盛り込まれていましたから、7時間があっという間に過ぎました。プログラムの構成が上手だなと感じました。
研修の最後には、期せずして受講者の間で拍手が沸き起こりました。リアルの研修であればまだしも、オンラインでの研修だったにもかかわらずです。受講者全員を巻き込んだ一体感のある研修を実施してくださいました。「成功した」と実感した瞬間でした。
オンラインでの商談スキルはこれからの時代必須となる
― 研修後の受講者からのアンケートの結果について教えてください。
森川様 非常に高評価でした。特に自由記述欄には「今日学んだことを、次のオンライン商談からさっそく活用してみます」といった回答が多く書き込まれていました。それだけ実践的な研修であったと受講者が感じたということだと思います。
赤木様 野村さんに関する記述も多く見られました。通常のアンケートですと、研修の内容についての記述はあっても、講師に関する感想が、しかも「野村先生が……」というように固有名詞付きで出てくることはほとんどありません。きっと受講者にとって野村さんが、オンラインでのビジネス・コミュニケーションにおける理想像として映ったということでしょう。研修を通じて「自分がなりたい像」を受講者が見つけられたのも、今回の研修の成果の一つであったと考えています。
― ちなみに御社では、今回オンライン商談研修の実施後に、受講者に事後学習に取り組んでもらったと伺いました。これはどのようなものだったのでしょうか。
赤木様 日本通運では受講者が研修後に事後学習ができるラーニングシステムを導入しています。今回のオンライン商談研修は、このシステムと非常に相性がいいので、受講者に取り組んでもらうことにしました。
具体的には「オンライン商談でお客様に対して説明をしている」という設定でPCのカメラに向かって話しかけると、「スピード」「流暢さ」「笑顔」「アイコンタクト」「ジェスチャー」という観点から、システムのAI機能が評価をするというものです。システム内に録画された映像は、ほかの受講者も見ることができ、相互にフィードバックしあうことが可能です。
受講者の中には、このシステムを使って、何と25回もオンライン商談の練習を重ねた社員がいました。そうした受講者は研修が終わった後もさらに成長していきましたし、ほかの受講者にとっても刺激になったと思います。研修を一回きりの受けっぱなしで終わらせず、事後学習ができる仕組みは今後も充実させていきたいと考えています。
― 最後に今後の研修計画について教えてください。
赤木様 オンライン商談研修は、来年度もマーキュリッチさんにお願いすることが決定しました。新型コロナウイルス感染症の流行が一段落した後も、オンラインでの商談がなくなることはないでしょう。商談に関わる社員にとって、今後オンラインでの商談力が必須のスキルになるのであれば、そうしたスキルを学べる場を提供し続ける必要があると考えました。
またマーキュリッチさんにはこのほかに、リモートマネジメント研修や英語プレゼンテーション研修もお願いしています。これからのマネジャー層には、リモートワーク下でも部下をしっかりとマネジメントしながら、成果を出していくことが求められます。またNXグループの中でも、特にNIPPON EXPRESSホールディングスでは近年外国人社員が増加しており、社内での会議においても、今後は英語でプレゼンをする機会が増えてくることが想定されます。
二つの研修は、そうしたNXグループを取り巻く環境の変化を受けて、実施することにしたものです。マーキュリッチさんの講師力や研修プログラムの完成度の高さは、今回のオンライン商談研修を通じて強く実感しましたので、マーキュリッチさんに依頼することにしました。今後も当社の課題解決のために協力していただければと思っています。
― 本日は誠にありがとうございました。
※日本通運株式会社 ホームページ
※取材日時 2022年12月
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