私の心を撃ち抜いた84歳女性のエピソード
研修講師の仕事をしていて、とても悲しくなる瞬間があります。
それは、中堅以上の受講者から「今さらこの歳で研修なんて・・・」という一言を聞いたとき。
要は「若い人ならともかく、自分はもう成長は望めない。先のキャリアも限界が見えているし。ましてや夢など描く歳でもない。」という意図で言っているようです。
私としては「そんなことはない。人は何歳からでも成長できる!」と言いたいのですが、そういう人をうまく励ます言葉がみつからず、歯がゆい思いをしていました。
そんなときに、まさに「わが意を得たり」という事例に出会いました。
成長し続ける84歳のグローバルパーソン
先日、ニューズウィーク日本版で「世界が尊敬する日本人100」というのが特集されていました。読んだ方も多いかもしれませんね。
グローバルで大活躍されている素晴らしい方ばかりだったのですが、その中で私が最も心動かされた人を紹介したいと思います。
その人は、若宮正子さん。
肩書は「世界最高齢アプリ開発者」。
なんと、81歳でiPhone向けゲームアプリを開発し、それが理由で「アップル世界開発者会議」でCEOのティム・クックから紹介されたほどの人物です。
ここまで読んだ方は、ひょっとしたらこう思うかもしれません。
「その人はそもそも特別な才能や経験をもっており、遠い世界の人なんでしょ?」と。
全くそんなことはないのです。むしろ真逆と言ってもいいかもしれません。
若宮さんは60歳で一般企業を定年退職しました。定年後のささやかな楽しみは、友達とおしゃべりをすることでした。
ただし、若宮さんは高齢である母親の介護をしないといけなかった。そこで「何とか自宅にいながらできないものか?」と知り合いに相談したところ、パソコンを使ってチャットすることを勧められました。
彼女はそのときにパソコンを始めたのです。
当然はじめは、ど素人。
だた、やっているうちにドンドンのめりこみ、気が付いたら上記のアプリまで開発してしまっていたというわけです。
そして、84歳となった現在の夢は、「テレビ番組を作ること」にまで広がっています。
ものすごい変身と成長ではないでしょうか?
人は、誰だって、いつからでも成長中毒になれる
私は、プレゼンテーションを入口にして「全ての人に『成長中毒』になってもらいたい」という強い思いのもと、人の成長を支援させていただいています。
ちなみに『成長中毒』というのは、私の造語です。
簡単に言うと、「成長する喜びを一度味わうことで、自己成長のスパイラルが回り始め、止められないほどの状態になり、人生が充実していくこと」をこの言葉で表現しています。
詳しくは、以下をごらんください。
そして、若宮さんこそが「成長中毒」を体現しているので注目したのです。
若宮さんのケースは、我々にとても大事なことを教えてくれています。
はじめは、大それた夢や野望なんて描けなくていい。身の回りのちょっとしたことから何かを始めることが大事なんだと。その上で、あきらめずにその「何か」に打ち込むことで、成長スパイラルが回りはじめ、人生が充実していく。
そして何より、その「成長スパイラル」は何歳からでもスタートさせられるのです。
そのことを彼女がこんな言葉で見事に表現しています。
「将来が見通せないと嘆く若い人には『82歳になったら人生が変わるかも』と言いたい」
私をはじめ、81歳以下の若い人(笑)に勇気をくれるメッセージです。
若宮さんのこと思うと、
「今さらこの歳で・・・」なんて言ってられませんよね?
「今さら」は「今こそ」に変わるはず。
「今こそ」成長中毒の第一歩を踏み出すときなのではないでしょうか?
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。