「褒められ足りない」と思っている人は何割?
質問です。
「褒められ足りない」と思っている社会人は何割くらいいると思いますか?
何と8割だそうです。
これはディップ株式会社の調査によるデータです。
それほどまでに多くの人が「もっと褒めてほしい」と望んでいるのに、マネジャーやリーダー層の人間がその期待に全くと言っていいほど応えられていない、1つの証拠だと言えます。
なぜこのような期待と実情の大きなギャップが生じているのでしょうか?
褒める側と褒められる側とのギャップが生じる原因
1つは「量」の問題です。
そもそも褒める行為の絶対量が少ないから。これは意識して増やしていくしかありません。
もう1つは「質」の問題です。
こちらは褒めているつもりなのに、残念ながら相手はそう感じていないということ。要は、褒め方が適切でないので、相手の「褒めてくれた」カウントに入っていないのです。
忙しいなか、頑張って褒める努力をしたのに、全く効果がないなんて悲しすぎます。
言われてみれば何となく心当たりがある人もいるのではないでしょうか?
そんな「どうやれば上手く褒められるか?」に悩んでいるマネジャー、リーダー向けに、効果的に褒めるための3つのコツをご紹介しましょう。
ポイント1 具体的に言うこと
1つめは、具体的に言うこと。
たとえば、上司であるあなた同席のもと、部下が大事なプレゼンを行い、終了後その部下に対してあなたが「プレゼン、うまかったよ~」と褒めたとします。
ただし、このようなシンプルな表現だけだと、相手から「本当かな?」「ちゃんと見ずに、適当に言ってるだけなんじゃないのか?」と疑われる恐れがあります。なぜなら、こういった抽象的でありきたりのコメントは、見なくても言えたりするから。
それを避けるためには、できるだけ具体的に述べることです。
たとえば、
「図解がわかりやすくて、論理も繋がっており、納得性があった」
「特に○○ページの図は一目でコンセプトが伝わってよかった」
と褒めれば、相手は「しっかり見てくれている」と感じて、モチベーションを高めるのみならず、あなたへの信頼を増すことにもつながります。
ポイント2 相手のツボを褒めること
2つめは、相手のスイートスポット(一番のツボ)を褒めることです。これは、少し上級編です。
そもそも「褒められると嬉しいポイント」は、人によって違います。
たとえば、努力・頑張りを褒めてほしい人もいれば、才能・センスを褒められると嬉しい人もいます。
では、どうやってそのタイプを見極めるのか?
褒めたときの相手の反応をよく見ることです。
日常からアンテナを立てて観察をすると、意外と見えてくるもの。相手との関係性ができていたら、直接本人に「どう褒められると嬉しい??」と聞いちゃうのもありだと思います。
そうやってトライアンドエラーでスイートスポットを見つけていくと、褒める効果を格段に上げていくことができます。
ポイント3 全身全霊で褒める
そして最後は、全身全霊で伝えることです。
「仏作って魂入れず」ということわざがあるように、どんなに具体的に褒めたとしても、またスイートスポットを褒めていたとしても、それだけでは何かが足りません。
そこに魂を入れる、いわば全身全霊で褒めることで、はじめてこちらの思いが相手に100%伝わる褒め方になります。
具体的には、大事なプレゼンに臨むときのように表情と抑揚をしっかりつけ、全身を使って、ちょっと大げさなくらいに褒めることが大切です。
前提となる「超重要」なこと
以上、3つの褒めるコツを紹介しましたが、これらがちゃんと機能する絶対条件があります。
それは、日常から信頼関係が築けていること。
逆の立場に立ってみると簡単にわかると思います。
信頼できない上司から褒められてもちっとも嬉しくないし、むしろ「その気にさせておいて、何か面倒な仕事を頼もうとしているのかな?」と警戒したりするだけです。
そういう意味で、日頃から相手に対する信頼を積み上げつつ、これら3つの褒める手法を活用してみてください。
「褒められ足りない!」というメンバーの不満を解消することができるでしょう。
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。