株式会社NTTデータ様は、日本を代表するシステムインテグレータ企業です。今回同社では、公共調達案件を担当している第一統括部第一システム担当と第二システム担当において、技術者を対象に提案書作成研修を実施されました。

第二公共事業本部 第四公共事業部 第一統括部 第一システム担当課長代理の中井淳様に、研修を実施した狙い・研修会社にマーキュリッチを選んだ理由・研修によって得られた成果などについてお話を伺いました。

大型案件の獲得に向けて、提案内容の良さを伝えきれる提案書作成能力が必要だった

― 御社ではこのたび技術者を対象に提案書作成研修を実施されました。この研修を行うことにした理由を教えてください。

中井様 メンバーの提案書作成能力を上げることによって、何としても受注したい案件があったからです。

私が所属している第一統括部第一システム担当では、官公庁などの公共機関の案件を担当しています。官公庁からの仕事を受注するためには、先方の入札形式に即した提案書を提出する必要があります。お客様はその内容を吟味し、発注する事業者を決めるわけです。

この提案書については、事前にお客様から「この項目について書いてください」という指定があり、事業者はその指定に則って書くことを求められます。大型案件になると項目数は100前後に及び、1項目あたりの文字量も何十ページにも渡ります。結果、提案書全体では1000ページを超えるものになります。

― 1000ページ超えは相当の量ですね。

中井様 はい。お客様にとっても最適な事業者選択をおこなうためには、これだけの提案が必要になるというわけです。これだけのボリュームですから、大型案件のときには数十人の技術者が総がかりで提案書の作成に取り組むことになります。

今回、提案書作成研修を実施したのは、ちょうどうちのチームが新規の大型案件提案に携わるタイミングでした。是が非でも弊社に任せてもらいたい案件でしたので、チーム内の技術者を対象に研修を実施することにしました。

― 提案書作成に関しては、どんな点に課題を感じていたのですか。

中井様 顧客の状況に対して最適なソリューションを考え尽くせたとしても、その価値について伝えきれていないことが課題でした。システムの構成やスペックを説明することはできても、その構成・スペックがなぜお客様にとって最適なのかが伝えきれていないと感じていました。

弊社ではこれまでも何度も提案書を作成してきましたが、担当する技術者によって提案書のクオリティに差が出ていました。ある担当者が書いたパートは説得力が高いのに、別のある担当者が書いたパートでは魅力を伝えきれていないといったことが起こっていました。

そこで研修を通じて、メンバー全体の提案書作成能力の底上げを図り、完成度の高い提案書をコンスタントに書けるようになってほしいと考えました。

マーキュリッチなら当社の課題克服に直結する研修に仕上げてくれると確信した

― 提案書作成研修の研修会社として、マーキュリッチを選んだ理由は何でしょうか。

中井様 マーキュリッチさんであれば、私たちの事業特性と受講者のスキル課題に即した研修を実施してくださると判断したからです。

当社ではこれまでも、文章力向上の研修や、提案書の基本的な書き方の研修を実施してきました。しかし受講者は研修を受けたときにはわかったつもりになっていても、いざ提案書を書く場面になると、学んだことをうまく活かすことができずにいました。

これは提案書が公共機関向けであることの特異性が大きく関わっていて、いわゆる民間企業向けの提案書とでは勝手が違う面が多々あるのです。その結果、メンバーとしては「学んだことの応用が難しい」という面があったのではないかと思います。

そこで一般的な提案書作成研修ではなく、本案件の特性を踏まえた提案書作成研修を実施することはできないか、そうした研修を当社向けにカスタマイズして実施してくれそうな研修会社はないかと、インターネットで探していたときに見つかったのがマーキュリッチさんでした。

そしてマーキュリッチさんに実際にお声がけをして、今回講師を務めていただいた野村さんと打ち合わせを重ねる中で「この会社だったら、安心して研修を任せられる」と確信し、お願いすることにしました。

弊社の過去の提案書に的確で具体的なフィードバックをもらったとき、研修の成功を確信した

― どんなところで「安心して任せられそうだ」と感じたのでしょうか。

中井様 弊社の過去の提案書へのフィードバックをもらったときです。マーキュリッチさんとは秘密保持契約を結んだうえで、過去に私たちが作成した提案書をお渡しして、事前に読んでもらいました。その提案書へのフィードバックが「さすがプロフェッショナル」と一気に信頼してしまうレベルのものでした。

その案件において満たさなければならないことと受講者のスキルレベルを、限られた情報のなかから把握して「どこに課題があるのか?どうすればそれを改善できるのか?」を具体的な言葉で指摘していただきました。

私もその提案書のイマイチなパートについては「何か伝わりにくいんだよな」と感じてはいたのですが、その理由をうまく言語化できずモヤモヤしている部分がありました。その点野村さんの指摘は非常にクリアかつ的確で、モヤモヤが一気に消え去りました。「野村さんなら私だけではなく、提案書をうまく書くことできずにいる受講者の課題をモヤモヤ感も、きっと解消してくれるはずだ」と感じました。

ですからマーキュリッチさんにお願いしようと決めた時点で、研修の成功についてもほぼ確信していました。

研修を通じて技術者と上司の間で共通言語ができた

― 実際にあがってきた研修内容については、どんな点を評価されていますか。

中井様 受講者たちが伸ばすべき能力を過不足なく伸ばせるようにご指導いただけたと感じています。

実は当社では4年前にも、今回の大型案件と同じ案件の入札に参加したことがありました。しかし残念ながらそのときは、当社は受注することはできませんでした。

野村さんは研修テキストのなかで、その4年前に私たちが負けたときの提案書を題材にして「その提案書のどこが伝わらなかったのか」「伝わらなかったのは書き手にどんな視点が足りていなかったからなのか」「具体的にどうすればよくなるか」を添削するかたちで講義を作りこんでくださいました。

研修内容の一部カスタマイズというレベルを超えて、弊社向けに内容を作りこんでくれたというイメージです。受講者にとって、これほど実践的な研修はほかにありません。

また私たちの判断で、研修には提案書を作成する技術者だけではなく、技術者の上司にも参加してもらうことにしました。上司は提案書作成において、技術者が書いてきた提案書をレビュアーとしてチェックするという大切な役割を担っています。ですから上司にも「読み手に伝わる提案書とはどんな提案書か」「技術者が書いてきた提案書をレビューするときには、どんな観点で読み込む必要があるか」といったことを、研修を通じて理解してほしいと考えたのです。これもよかったなと感じています。

― 上司にも参加していただいて、特によかったなと感じられたのはどんな点ですか。

中井様 技術者と上司との間で、キーワードの共有ができたことです。

研修の中で野村さんから、提案書の説得力アップのために押さえるべきポイントをキーワードとしていくつも受講者に示されました。そのなかのひとつに「プロの見立てで問題を分析する」というものがあったのですが、この言葉が受講者の間でも強く印象に残ったようです。

というのは、実際に技術者が書いた提案書を上司がレビューする際に「この提案書だと、プロとしての見立てが足りないよね。もっと違う視点からもアプローチできないかな?」といったことを口にする場面が頻繁に見られたからです。

レビューされた技術者の側も「プロとしての見立てが足りない」と指摘されれば、キーワードの共有化ができていますから、上司が何を言わんとしているかがすぐにわかります。

野村さんが研修で提示されたキーワードがチームの共通言語になったことは、上司からの指摘がスムーズに技術者に伝わるうえでも、とても大きかったと感じています。

研修後、圧倒的な評価で受注を勝ち取る

― 今回の研修の一番の目的は、大型案件の受注を成功させることでした。結果はどうだったのでしょうか。

中井様 はい。圧倒的な評価で受注を勝ち取ることができました。

勝因は、教わった「プロの見立てで問題を分析する」ことが提案に反映できた点が大きいと思います。お客様が抱えている課題に対して根本原因を探り当て、そのうえで多角的な視点から解決策を提案することが終始一貫してできたと感じています。その結果、お客様から「ここまでうちのことを考えてくれているのか」と思っていただける提案書になりました。

また、論理的なメッセージの構築について深い理解が得られたことで、専門的で難しくなりがちな内容もその価値が提案書で十分に伝えられたと思います。

― 最後に今後はどんなふうに研修を進めていきたいと考えているかについて教えてください。

中井様 提案書作成研修は、私が所属しているチームで実施されたあと、研修の内容が非常に好評だったので、隣の部署でも同じ研修が実施されました。気づきの多い研修なので、今後もより多くの社員に受講するチャンスが与えられればいいなと考えています。

― 本日はお忙しいところお話を伺う時間をいただきありがとうございました。

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※取材日時 2021年8月
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