今や営業の「ニューノーマル」になりつつある「オンラインによる商談」。
各営業担当者は、少しずつ慣れてきてはいるようです。
ただし、営業部門の責任者や教育担当者に話を聞くと、かなり多くの方が、「もっと早くオンライン商談力を上げて、競合より先んじたいが、思ったほどの成果が出ていない」といった悩みを口にします。
さらに深堀して聞くと、おおよそ
「個々人のばらつきが大きく、属人化してしまっている」
という2つの課題に集約されます。
そんな悩みを持つクライアントに我々が提案していることを、以下に紹介したいと思います。すでに数社に対してお手伝いを始めており、成果も出つつあります。
個々の力を結集し、組織として壁を乗り越える
取り組みを一言で言うなら、「個々の力を結集し、組織として壁を乗り越える」というもの。
具体的には、3つのステップに沿って実現していきます。
第1ステップのコンセプト「選択と集中」
まずは、社内の精鋭の営業担当者を5~10名ほど選びます。
選抜の基準は、「営業力」×「オンライン・リテラシー」の値が高いかどうかです。
営業力が高い人を選ぶべきなのは、説明なしでお分かりいただけるでしょう。ただし、目的を鑑みると「オンライン・リテラシー」も同じくらい大事です。
リアル(対面)営業は抜群にうまいのに、「オンラインになると、からっきしダメ」では、残念ながら今回のモデルになりません。
メンバー選抜が終わったら、オンライン商談スキルを短期集中でトレーニングします。
そうして「ニューノーマル」に相応しい武器を備えた『オンライン営業担当者』を作り上げます。
第2ステップのコンセプト「カスタマイズ化」
第1ステップだけで終えてしまうと、選抜した精鋭たちの成果は出ますが、組織全体に波及していきません。結局、「属人化」や「ばらつき」の問題が解消しないのです。
そこで、プロジェクトチームを発足させます。
ここもメンバーの選定が重要です。
第1ステップの精鋭に加えて、現場の営業マネジャーたちを巻き込むこと。
彼らに組織の「ばらつき」解消のキーパーソンになってもらいます。オンライン商談を身につけた精鋭たちから教えを受けながら、一緒になって現場で実践を行っていきます。
ちなみに、「いち営業担当者」である精鋭から、上位層である「営業マネジャー」へ教え込むことが難しいクライアントの場合、我々が「マネジャーへの教育」を担うこともあります。
いずれにせよ、上記の現場実践プロセスのなかで「うまくいった点」「うまくいかなかった点」を協力して検証し、自社版マニュアルを作り上げます。
いわば、「学習⇔実践」で生まれた個々人の知恵を集約し、オンライン商談のやり方を自社のビジネス形態に合致したものにカスタマイズしていくのが第2ステップです。
第3ステップのコンセプト「全面展開」
そして、仕上げである第3ステップのコンセプトは、「全面展開」。
第2ステップのプロジェクトに関わった現場のマネジャーが、営業活動を通じて自分の部下にオンライン商談スキルを伝授していきます。
その際に大事なのが、マネジャーの指導力です。
必要に応じて、マネジャーが教え方を学びつつ、作成したマニュアルを元に、営業同行やロールプレイを通じて、メンバーに自社流のオンライン商談スキルを叩き込む。そうすることで、バラツキが解消されるとともに、営業担当者間の切磋琢磨によって相乗効果が発揮され、ひいては組織の成果につながっていきます。
このように、適切なプロセスを経て強化を図ることで、「ニューノーマル」に対応した、強い「ニュー営業組織」が作り上げられていくのです。
「オンライン商談力の強化」は大きなテーマです。営業担当者個々人の努力に委ねるだけでは限界があります。
組織ぐるみで本腰を入れ、3ステップで取り組むことで、早期の成果につなげていけるはずです。
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。