いま、営業の世界で商談のオンライン化が急速に進んでいます。
ただし、いろいろな営業担当者に話を聞くと、まだまだ不慣れで、「リアル(対面)とはどうも勝手が違いすぎる」とばかり、戸惑いの渦中にいるようです。
そんな中でも、少数ながら「早々とコツを掴んでうまく成果に結びつけている人」もいます。
つまり、オンライン商談のスキルに関して営業担当者の間で大きな差がついているのです。
では、上手い人と下手な人の違いはどこにあるのでしょうか?
それぞれを比較しながら、説明したいと思います。
下手な人のやっていること
下手な人はズバリ、「リアル営業の成功パターン」をそのまま適用しようとして失敗しています。
例えば仮に、「初回訪問におけるリレーション作り」に関して、以下のようなリアルでのパターンを持っていたとします。
「雑談から入る⇒軽い質問で相手の口を滑らかにさせる⇒深い質問で本音を引き出す⇒リレーションを深めて接近戦に持ち込む」。そしてオンラインの場合にも、無理やりこれを適用しようとします。
経験のある方ならお分かりいただけると思いますが、面識のない人とオンラインで雑談をするのって、最高レベルで難しいものですよね?最終的に失敗体験のみが残り、オンライン商談が苦手なままで終わります。
一方、上手い人はなぜオンラインでも商談を大きく前に進められるのでしょうか?
上手い人は何をやっている?
一番は、「オンラインでやりにくいことは何か?」「オンラインでもできることは何か?」というメカニズムを明確にわかっているから。
リアルであれ、オンラインであれ、営業担当者は商談において、以下の2種類のコミュニケーションを使っています。
②論理(IQ)コミュニケーション
①はいわば、こちらの人柄を感じさせたり、逆に相手の興味や理解の度合を感じながら、会話を深めていく領域です。
オンライン商談では、残念ながら「①感性(EQ)コミュニケーション」は、どうしても効果性が落ちます。というのも、映像や音声がリアルより劣るため、相手の思考や心の動きを察知したり、推し量ったりすることが難しくなるからです。
一方、②の「論理(IQ)」の領域は、相手から得た情報をもとに課題を整理し、解決策を提示することで、顧客に価値を感じさせ、納得させる領域です。
これは主に頭で考える領域なので、リアルと比べて効果性は落ちません。
上手い人はこのメカニズムを理解した上で、まず「①」の目減り分を取り戻すためにさまざまな工夫をしています。
例えば、リアルの何倍も感情豊かに話したり、バリエーション豊かな問いかけを駆使して、相手の反応を引き出したりします。と同時に、「②」をより強化する工夫も行っています。
具体的には、綿密にシナリオを立てた上で商談に臨みます。話す際には、論理的に情報や課題を整理して伝えることで顧客を導き、最終的に信頼を勝ち得るのです。
以下がこのことを示したコンセプト図です。
オンライン商談が苦手な方は、ぜひこのメカニズムを理解した上で、臨んでいただければと思います。
今までとは違う商談の深まりや前進に驚くことでしょう。
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。