ミスは犯すのも犯されるのも嫌なものです。
ミスをしてしまうと、「叱られる」とか「評価が下がる」ということを真っ先に考えてしまいます。
そのために、隠しておきたいという心理状態になりがちです。ミスをフォローできたときは特に、内緒にしておこうという気持ちが強くなるようです。
ただし、ミスを隠すことは「隠ぺい体質・する癖や風土」の醸成につながることになりかねず、大変危険な行為です。
勇気を振り絞ってミスを報告するようにしましょう。
どこまで仕事のミスを報告すべきか
では、全てのミスはを報告すべきなのでしょうか?
結論から言うと、いちいち全てを報告する必要はありません。
あなたが上司だったとしましょう。
部下がちょっとしたミスをする度に「申し訳ありません。実は・・・」、と報告に来たのでは仕事になりませんよね。その内にろくに聞いてない段階で「またか!」と怒鳴り出してしまうことでしょう。そしておそらくこう言い出します。
「子どもではないんだから、自分で始末できることは自分でやれ!いちいち俺に報告しに来るな!」
報告すべきミスとは
「いちいち俺に報告しに来るな!」と叫んだ上司は、ミスを報告すること自体を否定しているのではありません。
「必要性を自分で判断し、選んだ上で、適切にミス報告をして欲しい」ということなのです。そこは理解すべき重要な点です。
では何を報告し、何を報告しないのか?
判断の基準は、そのミスが同僚や上司、会社そのものに直接的な影響を及ぼすかどうかということです。
例えば提案書作成が遅れたが、お客様に催促される前にお渡しできて、先方も満足してくれたならば、報告は不要でしょう。逆に、提出が遅れたが故に受け取ってもらえなかったとか、そのせいで商談自体がダメになったというのであれば、必ずすぐに報告すべきです。
また、見積書の数字が間違っていると担当者から連絡があっただけでは、報告不要です。一方で、それによって担当者が上司に叱責され、迷惑がかかった場合には、必ず報告する必要があります。
仮にあなたがある顧客を上司と一緒に担当しているのならば、その会社に対するミスについては、少々のことでも耳に入れるべきでしょう。
そうしないと「〇〇さんは、□□さんの上司でしょ?そんなことも知らなかったの?」と上司の顔を潰すことになり兼ねません。さらには会社の連携体制に疑問や不安を抱かれることにもなります。
ミスしたときの報告の仕方
最後に報告の仕方についてお話します。
ミスの報告における大原則は、とにかく速やかに報告すること。
もちろん、その案件の緊急性にもよるのですが、叱られるのがいやでミスの報告が遅れるのは絶対に避けなければいけません。
では、一秒でも早く報告すればいいかと言うと、そうではありません。
「超緊急案件」以外は、まずはメモを作りましょう。自分が整理して話すための手書きメモで十分です。
ミスを報告する際は、頭が一杯一杯になりがちなので、得てして話も分かりにくくなるものです。
その状態で報告すると、上司から「結局何が言いたいんだ!?」と言われ、余計な時間がかかってしまうことになりかねません。自分の頭を冷やし、状況を整理するためにもメモを作ることをお勧めします。
その上で、ミスを報告する際の基本プロセスは以下です。
- 恐縮した態度で謝罪する
- 現在、起こっている事実や結論(すぐ手を打つべき、一旦鎮静化した、等)を言う
- ミスが起こった理由を述べる
- 対処方法について述べる(今やっていること&今後やること)
- 相手(上司等)にやってもらいたいことを言う
報告の際の特に重要なポイントは、「起こった順番で言うのではなく、相手が聞きたい順番で言う」と「事実と意見を分ける」の2点です。
ミスは誰にでも起こるものです。
勇気を持って早めに報告し、適切な対策を講じれば、上司や関係者は安心してくれるのみならず、逆に関係性が深まる良い機会になるでしょう。
加えてミスの報告で怒られたり評価が下がることが無いよう、「心のイメージング」も併せて行うことも効果的です。
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。