プレゼンテーションは伝えたい意図を明確にして、分かり易くかつ印象深く(記憶に残り易く)設計するものです。そのためには様々な事柄に配慮して、言葉を濁す様なことはしてはいけないと理解できるでしょう。
政治家のように当たり触らずの表現を使っていては、プレゼンテーションとしては、大失敗です。
言いたいことを直接的に表現する
例えば「Aが最善の方法だ」ということを伝えたいとしましょう。そこで次のような表現を使ったらどうでしょうか。
「A、B、Cという選択肢があり、Aが可もなく不可もなく、Bは効果的という意見がある一方コストに難がありそうで、Cには少数ながら強い支持があります。それぞれ良いところとそうでないところがありますが、様々な観点から申し上げると、無難なのはAを選択することではないかと申し上げておくのが、現状であります」。
これを聞かされた相手は、お経のように流れていく言葉を心に留めることはないでしょう。このようなプレゼンテーションでは、上手くいくことはあり得ません。
では、どのように表現すれば良いかと言うと、次のような表現になるでしょう。
「A、B、Cの選択肢の内、この件についてはBとCは論外です。Bはコストが高過ぎて利益を出せません。Cのやり方は世間を敵に回す可能性があります。ここは、世間から認められるAの方法で利益をしっかりと計上すべきです」。このような話し方ができれば一発OKとなるはずです。
最初に紹介した表現は、あまりにもたくさんのものに気を使い過ぎています。その結果、言いたいことがストレートに伝わらないのです。なので、言いたいことははっきりと伝えてしまうことです。
笑顔の必要性
言いたいことをはっきりと言うと、角が立つと心配される方もいるでしょう。確かにその恐れはあります。
しかし、言いたいことが伝わらないプレゼンテーションでは意味がありませんよね。
そこで、大事なのが笑顔です。
テレビで辛辣なことを言いながらも、人気のある芸能人の方々は、皆さん笑顔が素敵ですよ。きつい一言を言い放った後、一瞬の間、そして素敵な笑顔。言いたいことをはっきり言い、相手に直球を投げ込みながら、その場の雰囲気を和ませるのは、あなたの笑顔です。プレゼンテーションでは、笑顔が非常に意味を持つのです。
それは「良い人」を演じるためではなく、あなたの直球スタイルを受け止めてもらうためなのです。
直接的表現は、一種の「圧力」となります。その圧力に対して相手は、逃げ出すか、戦いを挑むかという選択を迫られます。それは「恐怖」を感じて防衛本能が働くからです。
しかし笑顔が加わると、恐怖が消えて「受け入れ態勢」に変わるのです。
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。