ビジネスマナーは、新人研修で叩き込まれたはずです。しかし記憶違いであったり、失念してしまったりするものもあるのではないでしょうか。中には、そんな古いしきたりに何の意味があるんだと、軽視している人もいるかもしれません。
形式的な面ばかりに注目されることが多いマナーですが、そもそも相手を気づかうところからスタートしたのがマナーです。
そのことを忘れないようにしましょう。
マナーは相手を気づかうためのルール
ある経営者の方が、先日次のような愚痴をこぼしておられました。
「地方の支社に視察に行ったら、そこでびっくりするような挨拶をされたんだよ。『ご苦労様です!』と大きな声で。もう、顔が真っ赤になっていくのが自分でもわかったよ」
私がその社員の方は新人の方だったのですかと聞くと、首を振っておられました。どうやら営業の中堅社員だったそうです。
目上の方や上司を労うのは、失礼なことです。
「ご苦労様」という言葉は、上の立場の人が下の立場の人に言う言葉とされています。なぜその言葉を問題の社員は使ったのでしょうか。
どうやら、その営業部独自のルールが存在していたらしいのです。その支社の営業部長が、自分は「苦労することが仕事」という心構えでいるので、部下に「ご苦労様です」と労わしていたのです。それでついついいつもの調子で・・・。
さてこの話には、学ぶべき大事なことが二つあります。
一つは、相手を気づかうマナーは使い方を誤ると、逆に相手に不快な思いをさせてしまうということ。
もう一つは、世間一般で通用するマナーをオリジナルに変更してはいけないということです。
ビジネスマナーに独自の解釈は不要
そんなマナーはおかしいと判断し、勝手に変えてしまうのはトラブルの原因となります。
都合よく、仲間内だけのルールを作るのは、仲間内なら良いのかもしれません。但しその例外ルールを、他では一切使わないようにできるならという前提ありきです。
でも実際はどうでしょうか。
ついつい他でも、その変更したマナーが出てきてしまっているはずです。ご紹介したようなケースが生じる可能性が高いのです。
ですから、余計なマナーをあえて作り出すことは、止めるべきです。人間は余裕を失うと、いつもの癖や習慣が顔を出します。お客様に不快な思いをさせないよう、世間一般のマナーを身に付けておくべきです。
それでもお客様が変更しようと提案されるなら、そのお客様との間で変更するのは問題ありません。あくまで例外ですから、他のお客様に押し付けたり、お勧めしたりしてもいけません。
マナーの本来の意味に立ち返ってみれば、納得できるはずです。
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。