マネジメント研修をしていて、「褒めることはできるが、注意することが苦手」という人が増えていると感じます。
確かに、下手に頭ごなしに注意すると「パワハラ」と捉えかねない時代になっており、相当気を使う行為であることは間違いないでしょう。「だからと言って、改善してほしいポイントをそのまま放置するわけにもいかないし・・・」ということで、悩んでいるマネジャーが多いのはうなづけます。
そんな方にお伝えしたいことがあります。
「注意する=ダメ出し」という考え方を捨て去って欲しいということです。
もっと言うなら「注意する」のは、究極的には「褒める」ことと同じ行為なんです。
「何のために褒めて、注意するのか?」を改めて定義する
そもそも「褒める」とはどういう行為で、何のために行うのでしょうか?
シンプルに言うと、良い点を見つけて指摘し、自信ややる気を向上させること。加えて、人間関係も良くなります。
ただし、もっと大事な役割があります。
それは、「今後も同じような場面では、そういう行為を続けてね」というメッセージを発することです。
つまり、今後の再現性に関する期待を伝えているのです。
では、「注意する」とはどういう行為でしょうか?
さらなる「伸びしろ」を見つけて、そこを指摘し、改善を促すこと。
「その伸びしろを埋めれば、さらにあなたの成果と成長に繋がるし、周囲にも貢献できるよ」というメッセージを発していると言えます。
言わば、「未来への希望の光」を見せ、勇気づけてあげるという極めて重要な役割を果たします。
「褒める」と「注意する」の意外な共通項は?
このことから言えるのは、「褒める」も「注意する」も究極的には以下のことをしているのです。
その際のコツは、時間軸を伸ばすこと。
その人の将来を見てしっかりと期待を伝え、さらに高みに登らせる行為という点で、「褒める」も「注意する」も完全に共通しています。
単に、光の当て方を変えているだけなのです。
そう考えると、注意しないのは、「あなたに期待していない」表れとも取れるので、むしろ失礼と言えませんか?
改めてメンバーへの「改善余地のある点」を見つけ、勇気を持って注意しましょう。
とは言うものの、やはり言い方には細心の注意を払う必要があるのは事実。だからこそ、「100%の愛情」をもって全身全霊で伝えるのは言うまでもありません。
そうやって日々取り組んでいると、苦手意識もいつの間にか払拭できていることでしょう。
西野浩輝
「人は変われる!」をモットーに年間150日の企業研修をおこなう教育のプロフェッショナル。トップセールス・経営者・外資系勤務など、これまでの自身の経験を活かして、グローバルに活躍できるプレゼンター人材の輩出に取り組んでいる。